会計制度

香港の会計制度は、会社条例(Companies Ordinance: CO)によって規定されている。
しかし、会計基準については、会社条例に具体的な規定がないため、実務上、香港会計士協会(HKICPA)が公表している香港財務報告基準(HKFRSs)、中小企業財務報告基準(SME-FRF&FRS)、または私的会社香港財務報告基準(Private Entities)に準拠している。

香港の会計制度の大きな特徴は、会社条例によって、全ての会社に対して会計監査が義務付けられていることである。

香港法人の運営を行う上で以下の点について留意する必要がある。
・会社設立日から18ヶ月以内であれば決算日は自由に決められる。
・会社は年に1回決算を行い、外部監査法人による会計監査を受けることが義務付けられている。
・香港や香港以外に子会社を持つ会社は、原則として連結財務諸表を作成する必要がある。
・会社は、決算書、財務諸表などの会計帳簿を事業年度の末日から7年間保存する必要がある。
・企業会計と税務会計は、完全に分離されている。

税制

香港の税制は、低税率であるだけでなく、税金の種類が少ないのが特徴である。
所得に課税される主な税金は、
1. 事業所得税(Profits Tax)、
2. 給与所得税(Salaries Tax)、
3. 不動産所得税(Property Tax)
である。
これら以外に事業を運営するうえで発生する主な税金として、
・事業登録税(Business Registration Fee & Levy、商業登記料)、
・印紙税(Stamp Duty)、
・固定資産税(Rates & Government Rant)
などがある。
なお、日本の消費税や贈与税、相続税に相当する税金は存在しない。

下記、香港で事業を行う上で重要となる2つの所得税(事業所得税 及び 給与所得税)の特徴である。

1. 事業所得税(Profits Tax)

1) オフショア所得

香港は源泉地国課税主義を採用しているため、オフショア所得(香港外で得た所得)は非課税となり、香港源泉所得のみを課税対象所得とする。

2) キャピタル ゲイン

キャピタル・ネイチャー(資本的本質)に係るキャピタルゲインや為替差益は課税されない。

3) 配当収入

二重課税を防ぐため、受取配当金(香港源泉及び海外源泉)は課税されない。

4) 非居住者へのロイヤルティーの支払い

香港では、非居住者へのロイヤルティーの支払いなどについては、源泉税が課せられる。ロイヤリティーの30%がみなし利益として課税されるため、4.95%(=30% x 16.5)の法人税が課せられる。しかし、関係会社間取引の場合、ロイヤリティー全額が課税対象となる場合もある。

5) 繰越欠損金

繰越欠損金の繰越期限はないため無制限に繰越が可能であるが、繰戻はできない。

6) 税率

2017/18年度の法人に対する事業所得税率は、16.5%である。なお、2016/17年度は、HK$ 20,000を上限として、最終税額の75%の税額控除が適用されており、2017/18年度も税額控除が予定されている。

7) 連結納税

連結納税制度はなく、グループ内であっても各会社は単独で税務申告を行う。

8) 予定納税制度

源泉徴収制度を採用しておらず、予定納税制度(Provisional Tax)を採用している。事業の継続を前提とし、前課税年度の実質課税所得を基に予定納税額が計算され、当期分と翌期分の納税額が記載された納税通知書が発行される。

9) 申告期限(課税年度)

税務申告書の発行日から1カ月以内が申告期限となる。しかし、会社の決算日に応じて事業所得税の申告期限は、下記の4通りの延長が可能である。

・N Code(決算日:4月1日から11月30日、申告期限:翌年の4月末)
・D Code(決算日:12月1日から12月31日、申告期限:翌年の8月中旬)
・M Code(決算日:1月1日から3月31日(黒字の場合)、申告期限:同年の11月中旬)
・M Code Loss(決算日:1月1日から3月31日(赤字の場合)、申告期限:翌年の1月末)

2. 給与所得税(Salaries Tax)

1) 課税所得

香港源泉の役員報酬所得(Office)、雇用所得(Employment)、又は年金所得(Pension)がある場合、香港において給与所得税が課せられる。

(1) 役員報酬所得
香港の会社から支給される役員報酬であれば、香港源泉とみなされる。

(2) 雇用所得
3要件(① 雇用契約の締結地が香港か、② 雇用主の住所が香港か、③ 給料の支払地が香港か)をベースに源泉地が判定される。

(3) 年金所得
香港で運営・管理されている年金所得であれば、香港源泉とみなされる。

2) 会社が個人に代わり負担する事のある主な給与所得項目

(1) 会社負担の住宅補助
会社が家賃の全額または一部を負担する場合、みなし家賃補助(Rental Value)として、課税所得の10%を加算する。

(2) 会社負担の社会保険料
会社が負担する場合、全額が課税所得として扱われる。

(3) 会社負担の個人所得税
会社が個人の個人所得税を負担した場合、賃金給料とみなされる。

(4) 会社負担の子供教育費
全額従業員の課税所得として扱われる。

(5) 会社負担の公共料金
会社が従業員住宅に関する公共料金を支払にあたり、公共料金の口座が会社名義である場合、個人の課税対象とはならない。

(6) 会社負担の家政婦
会社が従業員の家具や家政婦の給与を支払いについて、従業員がその支払いを換金できない場合、個人の課税対象とはならない。

3) 税率

累進課税方式(Progressive rates)と標準税率方式(Standard rate)の2通りで計算した金額のうち、いずれか低い方が最終税額となる。

(1) 累進課税方式(2017/18年度以降)の税率
課税所得 HK$ 45,000まで: 税率2%、税額 HK$ 900
課税所得 HK$ 45,001からHK$ 90,000まで: 税率7%、税額 HK$ 3,150(合計 HK$ 4,050)
課税所得 HK$ 90,000からHK$ 135,000まで: 税率12%、税額 HK$ 5,400(合計 HK$ 9,450)
課税所得 HK$ 135,001から残額: 税率17%

(1) 標準税率方式(2017/18年度以降)の税率
15%

4) 予定納税制度

事業所得税と同様に給与所得税の納税も予定納税制度(Provisional Tax)が採用されている。

5) 申告期限(課税年度)

課税年度は、4月1日から翌年3月31日までの12ヶ月間である。給与所得のある個人のもとへ、毎年5月上旬に個人所得申告書(Tax Return – Individuals, Form B.I.R.60)が送付されてくる。申告書日付から1カ月以内までに記入を行い、本人が署名を行った上で提出しなければならない。通常、当期の確定税額と翌年の予定納税額の支払い期日は、翌年1月から6月までの間となる。