25/26年度財政予算案とAI出資など

香港特別行政区(以下、香港)政府は2月26日、2025/2026年度(2025年4月~2026年3月)の財政予算案などを発表した。詳細は以下の通り。
⭕️2024年通年の実質GDP成長率(確定値)2.5%、2025年通年の成長率は2.0~3.0%とする見通し。
⭕️2026年から2029年までの経済成長率は年平均2.9%と予測。
財政赤字に対する健全化計画を強化
財政予算案演説で、陳茂波(ポール・チャン)財政長官は、「新型コロナウイルスに対応するため、打ち出してきた大規模な景気対策により財政赤字となり、2024/2025年も引き続き赤字幅が拡大する」と言及し、2027年~28年まで政府計上支出を累積7%削減することを含む財政健全化計画の「強化版」を提案。具体的には、
・公務員を1万人削減、昇給停止。
・企業や家計の減税も縮小。
・2024/2025年度の給与所得税、個人所得税および法人税は1,500香港ドル(2万8,800円、1香港ドル=約19.20円)を上限として免除。
・固定資産税の減免措置は2025/2026年度の第1四半期のみ500香港ドルを上限とする。免除額の上限は2024/2025年度から半分に引き下げられたかたちだ。
香港政府は、産業の高度化を図るため、「香港人工知能(AI)研究開発機構」をに10億香港ドルを投下したり、パイロット製造および生産ラインアップグレード支援制度を2025年に開始するため、「政府1対企業2」の比率で最大25万香港ドルを企業に割り当てる。
河套協力区の香港園区開発
北部都会区計画(注1)も加速する模様。河套(ヘタオ)協力区の香港園区(2024年11月28日記事参照)に、37億香港ドルを投じて第1段階のインフラと公共施設を整備する。北部都会区のI&Tを担う中核プロジェクトとなる新田(サンティン)テクノポール(注2)は、2025年第3四半期に基本計画調査を完了する見込みだ。また、香港の元朗区にある香港洪水橋と深セン市の前海を結ぶ越境鉄道「港深西部鉄道」建設に向けて調査・設計研究を進め、「北環線支線」の詳細計画・設計を2025年中に実施する。
財政赤字は670億ドルに
これらの結果、2025/2026年度予算案の歳出は約8,223億香港ドル、歳入は約6,594億香港ドルとなり、約1,500億香港ドルの政府債券発行分を含め、約541億香港ドルの債券の償還を差し引くと、財政赤字額は約670億香港ドルに上る。また、2024/2025年度の財政赤字額は、当初見込みの481億香港ドル(2024年3月7日記事参照)を大きく上回る約872億香港ドルとなり、2025年3月末時点での財政準備金は約6,473億香港ドルに減少する見通し。
香港政府は、財源確保に向け、
・2025年第3四半期から空港旅客出国税を1人当たり120香港ドルから200香港ドルに引き上げ。
・各種人材誘致スキームと投資移民制度の申請に対し1件当たり600香港ドルの手数料を課す。
・滞在期間に応じて徴収されるビザの手数料は600~1,300香港ドルに引き上げ。
一般会計(Operating Account)は2026/2027年度から2年以内に黒字化すると予測されており、2030年3月末時点での財政準備金を約5,791億香港ドルと見込んでいる。
(注1)2021年施政報告で示された中国広東省深セン市と隣接する元朗区と北区を中心とする大都市圏の建設開発案。
(注2)北部都会区の中心に位置し、深セン市の皇崗と福田区のイノベーションとテクノロジー区域に近接する。
JETRO HPより抜粋