【香港ローカル ニュース Vol. 81】
日本ではようやく一般市民へのワクチン接種が始まるようですが、香港では4月末ごろから各地にワクチン接種センターが公営の運動施設内などに設けられ、ネットで予約したセンターでワクチン接種が出来るようになっています。接種の場所によって受けるワクチンがBioNTech/Forsun社製Forminatyか、中国科興サイノヴァク社製ワクチンか、決まっており、これらはネット上で予約する時に選べます。日本よりも一般の接種が早く始まったため、一般市民の反応や、疑わしい接種後の事故など多くのニュースが流れています。
また、ワクチン接種は香港に在住する人が満遍なく受けなければ集団免疫の効果が出ないためか、衛生防護センターの公式サイトの表示言語は、少数者住民の言語も使われており、インド系ではヒンディー語・ウルドゥー語・ネパール語だけでなく、ベンガル語(バングラデシュ)・シンハラ語(スリランカ)も含まれています。この2つの言語を母語とする少数派の住民もそこそこの数が香港にコミュニティを作っているということなのでしょう。その他の言語は、従来通りベトナム語・タガログ語・インドネシア語・タイ語です。
▼香港政府はワクチン接種を促そうにも良策に欠け、ビジネス界に助けを求める
〜東方日報オリエンタル・デイリーから 〜2021年5月31日 午前5:45
香港でのコロナウイルス肺炎のワクチン接種率が伸びない背景には、香港政府のワクチン接種の利点を政府高官がはっきりと説明していないことも理由にあるが、そんな政府が手をこまねいている間に、民間ではワクチン接種済みの市民に特典をつけてロックダウンで遠のいた客を呼び戻そうとしたり、中にはワクチン接種済みの男女の「婚活」サービスまで現れた。ワクチン2回目を接種すれば相手に会う機会があるだけでなく、各種のお得なクーポン券や景品、キャッシュ引き換え券までついてくる。
ローカル社会での感染はゼロにまで押さえ込むことは近づいたとしながらも、香港政府行政政務長官の張建宗は日曜日の自身のブログで、「ワクチンの接種率が20%しかないのは憂うべきこと」とし、政府はワクチン接種センターを置くだけでなく、ワクチン接種部隊を派遣することも始めており、いち早く集団免疫を獲得するべく市民に接種を呼びかけている。接種率を上げるため、公海へのクルージングや、シンガポールとの共催の「トラベル・バブル」などのイベントにはワクチン接種を条件にしている。一方で9月で臨時で設けられたコミュニティーワクチン接種センターを閉めるとも発表いるが、まだ使い切れていないワクチン銘柄があるとも言われており、ワクチンへの市民の信頼は低く、政府が硬軟取り混ぜた策を出しても接種率は依然として低いままだ。
接種二回目後には婚活マッチングサービスも
香港政府行政会議(諮問委員会)のメンバーであり、立法議会の議員でもある林健鋒は日曜のテレビ番組出演の際、香港は外向きな経済タイプでありパンデミックがそのほかの国・地域との行き来を妨げているため、香港が「安全な都市」となって観光客を取り戻し経済が回復するためには、早急にワクチン接種を目標の数値まで持っていくしかないと述べた。
立法議員はグレーター・ベイ・エリアのビジネスバブルに乗ることを提言
ある団体ではワクチン接種済みの従業員に休日を与えているなどについて、林健鋒はサポートを示し、雇い主側が被雇用者に休みを取らせるよう励ましており、同時に夫婦揃ってワクチン接種すれば特典があるような制度を設けることも薦め、また香港政府に対しては長期的に香港滞在する外国人にも無償でワクチン接種を提供するよう勧めている。さらに『グレーター・ベイ・エリア、ビジネスバブル』を設けて、ワクチン接種したものには検疫隔離をしないで済むよう計らい、毎週1,000名の枠でうまくいけば指定した都市との間での旅行キャンペーンに繋げてはどうかと提案している。
香港空港管理局の発表に続いて、6万枚のチケットが用意され、ワクチン接種済みの香港市民と空港職人に抽選方式で送られることになっている一方、テーマパークもこうした賞品プランに参加する意向を示しているが具体的な内容は発表されていない。
香港政府は5月29日にワクチン接種後に病院に搬送された事例9件(女性4名男性5名)があったことを発表。年齢は21歳から65歳。そのうち5人は中国大陸とドイツ共同開発のコルミナティワクチンを接種、4人は大陸で開発されたサイノヴァク科興のワクチンを接種していた。接種後に顔の右側の麻痺、高血圧、薬物アレルギー、発疹、立ちくらみ、めまい、胃酸逆流などの症状を訴えていた。
ニュースソース:
https://news.now.com/mobile/local/player?newsld=435784
▼「安心出行」アプリにワクチン接種済み証明書の電子版機能を搭載する予定
〜星島日報から〜2021-05-31 00:00
【星島日報記者】コロナウイルス蔓延が止まらない中、香港政府は「安心出行」LeaveHomeSafeアプリの使用で市民が日常生活の足取りを記録するよう提言しているが、創新及科技局Innovation and Technology Bureauの局長である薛永恒が5月30日に示したところによると、今年4月末から「ワクチンバブル」(ワクチン接種済みの人を対象にした旅行上の特典を用意した旅行プラン)を打ち出してから、「安心出行」アプリのダウンロード数がうなぎ上りで439万ダウンロード、香港全人口の約6割近くに達した。政府当局は、電子版ワクチン接種済証明書をアプリ内に保存できるように、また電子版ワクチン接種証明書を電子ウォレット内に保存できるようにも計画している。
薛永恒によると、「ワクチンバブル」キャンペーンに伴い、飲食業やその他の場所の営業制限が緩和され、香港全体の飲食店をA, B, C, D の四タイプに分類し、C, D両タイプの飲食店に入るには「安心出行」は既に不可欠になっており、ワクチン接種証明書のQRコードで認証をして指定の場所へ入ることになっており、バーやカラオケなどではますますそのような入場制限が多くなっている。
同氏は、感染拡大の防止に市民の関与がキーであることを認識しているので、市民の利便性を勘案して「安心出行」アプリに機能を増やして、ワクチン接種の証明を内蔵できるようにするとしている。また、アップルのスマホを使う市民には接種証明書がiOSシステムのアップル・ウォレットに内蔵できるよう、そしてGoogleと協議してAndroid端末の電子ウォレットに同様の機能を搭載できるようにするという。
ワクチン接種済みの市民は紙ベースの接種証明書を携帯して飲食店などに入ることができるが、薛永恒はインテリジェント・シティ推進の立場から、政府はスマホ用のアプリ「智方便」や「醫健通」を通じて電子版接種証明書をダウンロードすることを市民に推奨するべきだと言っている。接種証明書のQRコードは偽物防止になると同時にデジタルサイン技術を通じて、QRコードの情報が書き換えられないようにすることができ、接種者の姓名、身分証カード難波など接種に関連する記録に誤りのないよう保証するものとなる。
関連する店の責任書をサポートするべく、政府は「QRコードスキャン認証」アプリを開発し、無償ダウンロード提供する。これにより紙ベースまたは電子版のワクチン接種証明書のQRコードの真偽が確認できるようになる。技術面から言えば、電子版接種証明書は将来クロスボーダーの出入りの際に関連する情報を確認する基礎ともなる。
電子版接種証明書が「安心出行」アプリまたはスマホ電子ウォレットのどちらに保存するかは、まったく個人の選択に任せる。薛永恒は、「電子版でも紙ベースであっても重要な個人文書であるので、市民にはしっかり保管をしてもらい、証明書を他者に転送したり、SNS上でシェアしたりして、他人の接種証明書を借用したりなど決してしないように」と注意を促している。
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