【香港ローカル ニュース Vol. 82】

コロナウイルス関連と、それに影響される香港の景気の近況に関するニュースです。

▼変異種ウイルス感染の少女、姉と53歳の母も感染確認される。香港政府は、香港人が大陸へ『帰省』するのに使う「回港易」システムの高リスク地点リストを拡大

〜アップルデイリー 6月7日電子版から〜

【アップルデイリー記者】香港で、イギリスで見つかったコロナウイルスの変異種N501Y アルファの感染経路不明の事案が見つかり、17歳の少女だった。その53歳の母親、20歳の姉もそれぞれ感染確認・初期陽性反応が確認された。三人の住所は香港北部の天水圍 Tin Shui Waiの天盛苑 Tin Shing Courtで、この住宅ビルは強制検疫隔離対象となった。

これとは別に、香港の隣の深圳(しんせん)市の龍崗区の、園山街道西坑社區、安良社區および鹽田區の鹽田街道的沙崗圩、東海社區、鹽田港、さらに沿港社區などがミドルからハイリスクの地区として指定され、これらの地区の住人が香港へ(平常時ならば簡易手続で越境して香港入り出来る)「回港易」のシステムで香港に入ることが停止された。

香港政府の衛生防護センターは、日曜日6月5日、新たに7件の新規感染確認があったことを発表。その内6件は外部から持ち込み、1件は香港ローカルの事案で、感染者は17歳の感染確認された少女の母親でワクチン接種を受けていない。感染確認された17歳少女の姉は20歳の学生でワクチン未接種。先週金曜日に検疫隔離されてから咳や鼻水・下痢などの症状が始まり、検査の結果は陽性と出た。衛生防護センターの発表によると、この20歳の姉の学生は学校の授業はリモートで家から受けていたが、5月23日、29日と、尖沙嘴(チムサーチョイ)、‎深水埗(‎サムソイポウ)、荃灣(チュンワン)など多くの場所へ立ち寄っており、潜伏期間内に足を踏み入れた場所は強制検疫対象となった。17歳で感染確認された妹のほうは、屯門Tuen Mun震寰路德榮工業ビル、伊利沙伯(エリザベス)中學舊生會湯國華中學に足を伸ばしており、土曜日までに13箇所が強制検疫対象となったが、いまのところ感染確認者は見つかっていない。

20歳の姉のほうは感染してから潜伏期間内にチムサーチョイのK11 Museaに立ち寄っており、同商業ビルは日曜日に強制検疫対象となった。

英国変異種ウイルスだが遺伝子配列は深圳の患者のものとは異なる

呼吸器専門医の梁子超の指摘によれば、香港で検疫免除扱いを受けた人や香港に大陸本土から戻った人の密度を考慮すると、注目すべきはイギリス・インドネシア・深圳(しんせん)・台湾から香港に戻った人たちであり、特に深圳・台湾ではつい最近感染爆発が起こっており、これらの地域から香港に戻った人の中から検査に引っかからなかった者から感染が広がった可能性は否定できない。香港政府は外部からの持ち込み事案に漏れがなかったかをチェックし、早急に深圳・台湾の事案と遺伝子配列を比較し、二週間以内に漏れのあった事案と可能性のある感染連鎖を特定し、根本からウイルス感染を阻止するとしている。

衛生防護センターの分析では、17歳の感染確認された少女のウイルスの遺伝子配列は、アルファ型変異種(B.1.1.7型)であるとわかり、これまでに記録のある感染確認された事案のウイルスとは異なる。これは深圳で最近、感染確認されたウイルスとも配列が一致しないため、この少女は深圳から香港に戻った人から感染したものでないことになり、少女の感染経路は現在不明である。

広東省広州市で取り締まりが強化され、一般市民が不要不急の理由がない限り広州市を出ないように呼びかけがあったのに伴い、香港政府は『日曜日に「回港易」(香港市民と大陸本土との行き来の手順を簡素化するシステム)のプランに含まれるハイリスク地区一覧の調整を行うと発表。該当地区の範囲を「小区」というカテゴリーを最小単位として追加することになったが、住宅ビル名や、集合住宅ビル群のフェーズまでは入れない』としている。

梁子超の見るところでは、『政府当局は二週間前に「回港易」手続きを引き締めたばかりであり、香港へ戻る者のリスク判別のために同システムのリスク分類を市や大区に拡大することを検討すべきだ』としている。

この他、土曜日に見つかった外部からの持ち込みの事案の中で、2名は感染状況が厳しくフライト停止が1ヶ月以上続いているフィリピンとインドから来ており、2人とも船員であることからフライト禁止の措置には影響されずに香港入りしたものと思われ、フィリピンから来た23歳男性からはN501Yの変異ウイルスが見つかった。インドから来た36歳男性からはL452Rの変異ウイルスが発見された。

20歳女性(姉)の身元:

・事案ナンバー11852の17歳少女の姉であり、11859の感染確認された53歳母の娘。

・3人とも同じ天水圍Tin Shui Waiの天盛苑住宅ビル群の栄誉閣ビルの住人。

新たに強制検疫対象に入ったビル一覧:
下記の日付で滞在時間が一時間を超える者は6月9日までに検疫検査を受けなければならない(※香港では条例によって条件に該当する者が検疫を逃げれば、罰則が課されることが決まっています)

一覧の中の地名で、尖沙嘴Tsim Sha Tsui、深水埗Sham Shui Poは九龍地区、荃灣Tsuen Wanはニューテリトリー地区の南東。記載されている名称はいずれもビル名・モール名や店舗名であり住宅ビルは含まれていない。

ニュースソース:

https://hk.appledaily.com/local/20210607/AVE237JMKNCCRCPC7H66CPZCUU/?fbclid=IwAR1E-GMYLf-eR0IYx_0wDF3cmKbWK5CX0UWDx58lkl908L6fEXqUMCxvlEM

▼香港経済は既に底を突いたが、就業に改善の様子はいまだ見えず

〜NOWニュースチャンネルから〜 2021年6月3日 13:31

【NOWニュースチャンネル】
香港の調達管理指数(PMI)は、7年来で新高水準に達しており、経済アナリストは「香港経済は底を突いた」との見解を示しているが、指数の伸びの勢いがこのまま続くか否かは、香港と大陸本土との間のボーダーの開放がいつになるかを見なくてはならないとしている。防疫規制が一歩緩和の方向へ動き出しており、香港の経済環境とビジネス運営への期待感は強くなっている。ビジネス成績のPMI指数が連続四ヶ月好調であることを反映して、5月は2.2ポイント上昇の52.5、2014年2月以来最高水準に上っている。

ある調査機構の指摘によると、防疫措置が4月末に一歩緩和され、第1四半期のオペレーション量、生産量の伸び率は三年来で最も速い。

5月の海外受注件数は上昇に転じ、大陸本土からの受注を含めると好転の様子を見せており、業界はコロナウイルスの動静が安定することは新たなオペレーション量増加の原因であると見ている。

あるエコノミストは、「香港経済は底を突いており、直近の輸出と消費、特に贅沢品リテール業の販売額の改善が目覚しく、このまま増加するかどうかはボーダーの開放がいつになるかに拠る」と見ている。

DBSシンガポール開発銀行の香港経済研究部のエコノミストの謝家曦Samuel TSE:「経済の伸びる勢いはかなり良く、経済状況は既に底を突いたと言えます。次の感染爆発が起こったとしても政府の対応はかなり迅速に行われると思われ、厳重な拡大には繋がらないと思えますので、今後の経済がこのまま伸びていくかどうかは、通関の時期をいつに定めるのか、全面的なボーダー開放となるのかどうかにかかっている、またワクチン接種の進捗状況次第であると言えるでしょう。」謝家曦が所属するシンガポール開発銀行は、先に今年の経済成長率予測発表の際には6%に上方変更した。

指数を算出する機構の予測についていえば、今年の香港経済成長率は6.8%であるが、同時に注目しなくてはならないのが、香港労働市場が改善の様子を見せていない点で、企業の5月求人件数は四ヶ月来で初めて下落に向かった。

この他、企業が直面している人件費コストと調達コストの上昇については、‎調達コストのほうの伸び率が2018年6月以来最大となっており、企業は売値上昇によってコスト転嫁を行う必要に迫られている。‎

ニュースソース:
https://news.now.com/home/finance/player?newsId=437167&fbclid=IwAR05g9dY93TB-HrpvZCBddcRwrZuvtCVlXtIXbuuU3sbNr1scdo81Iwu6rE