香港・中環の風水大戦

香港人の間でささやかれる風水エピソードに「中環風水大戦」があります。今回は、特に気の流れが強いという中環で、世界を代表する2社の銀行ビルが風水や業績をめぐって争いに発展したというエピソードをご紹介します。
世界最大級のメガバンクである香港上海銀行(HSBC)の本店ビル。1985年に建てられ、中環のなかでも特に風水を多く取り入れた建物として広く知られています。
龍の通り道を邪魔しないよう地上階は吹き抜けに、エスカレーターは縁起のいい八の字形に設置され、入り口の前には2頭の大きな獅子が鎮座。竣工から40年近く経った現在でも、そのご利益を得ようと訪れる人が後を絶ちません。
一方、HSBC本店ビルが完成して5年後の1990年に建てられたのが、そこから目と鼻の先にある中国銀行タワー。同タワーは70階建と超高層で、まるで鋭く光るナイフのような形をしており、その刃先がちょうどHSBCビルを高い位置から斬りつけているかのようにも見えるのです。
タワー完成後まもなく、HSBCは、中国銀行に斬りつけられていることによって運気が下がり業績が悪化した!と激怒。今度はそれに対抗するかのように、中国銀行側に向けて、大砲(の形をした窓拭き用ゴンドラ)を設置しました。すると翌年、風水的に相殺できたのか、見事に業績回復を果たしたといいます。
その後、これら2棟の間に、仲を取り持つようにして長江センターが建てられ、鎧で武装したような頑丈な枠で四方を覆うことで、中国銀行タワーの刃とHSBCビルの大砲、両方の攻撃をかわす役目を果たしているそうな。。。