【香港ローカル ニュース Vol. 3】

香港人の危機感とデモ!

香港市民の間で、8月5日(月)にストライキを呼び掛ける動きがあり、香港の商工会議所代表者がストライキとデモに反対の立場を表明していましたが、昼間から複数の箇所でデモ集会が開かれ、またデモ参加者が同時多発的に警察署を取り巻く場面がありました。

こうした市民の活動が未だ収束する気配を見せておらず、投資や金融に影響が出ることを危惧する向きがある一方で、アジアで最も自由な金融市場である香港を破綻させるような解決方法は誰にとっても得になるものではないため、行政当局も極端な手段で今回の事件を解決するような暴挙には出ないだろうという、海外アナリストの意見も傾聴に値すると言えます。

これらは決して短期間で解決する問題ではないので、推測や噂を必要以上に憂慮することなく、今後の動向を慎重に見届ける必要があるでしょう。‎

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ストライキが公表される8月5日(月)以前の報道と、8月5日(月)以後の報道を時系列でお伝えします。記事の最下部には、香港基本法の日本語訳の抜粋を一部記載しています。

第2章では、中国中央政府と香港特別行政区政府の役割と人民解放軍駐留軍の扱いについて言及しています。

<時系列での各見出し>

【NOWチャンネル】は、香港の老舗テレコム会社であるPCCWが展開し、197のチャンネルを有するケーブルテレビの24時間ニュースチャンネルです。‎

このチャンネルが、香港で、逃亡犯条例改定案反対の8‎月5日のストライキを含むデモ活動に先立ち、8月3日に香港政府が出した声明とあわせて銀行のアナリストがコメントを発表しました。

~NOWニュースチャンネルの8月3日(金曜日)の報道から~~

次週、月曜日(8月5日)にストライキを呼び掛ける動きが香港市民の間であり、香港の商工会議所代表者がストライキとデモに反対の立場を表明している。

理由はそのような市民の行動が政府の立場を覆すものにはならないこと、むしろストライキがビジネス界での投資意欲を削ぐものであり、奨励すべきものでないからであるとのこと。‎

逃亡犯条例改定案反対(中国語では「反修例」または‎「反送中」)の気運が上昇するにつれて、市民の中か‎ら月曜日に香港全体のストライキを呼び掛ける声が挙がった。しかし商工組合組織代表の中には、スト反対を表明する声があり、政府側がそうした動きに答えて妥協するとは思えないこと、またストライキがビジネス界の投資意欲に影響することに憂慮を示している。

市民の反対の声が収まらないのは、原因の一つとして、政府が地下鉄元朗Yuen Long駅構内において、白シャツの棍棒などを持ったグループが黒シャツ着用のデモ市民を襲った事件について、独立調査委員会を設置することを拒んだ経緯がある。商工組合代表者は、現段階では一連の動きが収拾していないことを理由に、今は調査を進める時期ではないと見ている。‎

しかし経済アナリストは、ストライキやデモでの衝突が経済システム全体に与える影響は部分的なものと見ている。卸売業・小売業を代表する議員である、自由党所属の立法議会議員・邵家輝(ピーター・シウ)氏は、「今に至るまで条例改定反対の動向は、事態を収拾する方法も見つかっていないので、(収益激減の対策として)小売業が従業員解雇や閉業の波に呑まれる結果になることを憂慮している」と述べている。

~以下は8月5日(月曜日)の報道から~

明けて8月5日は、昼間から複数の箇所でデモ集会が開かれ、デモ参加者が同時多発的に警察署を取り巻く場面がありました。月曜日の午前には、香港政府が記者会見を行ない、行政長官キャリー・ラムと数名の政府高官がメディアを前に、「一部の市民の『極端な行為』によって香港社会は極めて危険かつ不安定な状況に入っており、このような多種多様な危険行為により香港政府が後戻りの出来ないステップを踏まざるを得ない方向へ進むことになっている」と述べました。ラム氏は続けて、「市民が政府に不満を持つことは理解できるが、極端分子が『時代革命、光復香港(香港の自由回復)』を訴えるようになったのは、今回の事件全体を変質させるもので、本来の条例改定案反対運動の範囲を踏み外し、香港の安定繁栄を破壊するものである」として批判しています。

※注:上記の‎「時代革命、光復香港」というスローガンは、香港の街角に大学生などを中心とした若者が貼り出しているポスターなどに見られるものですが、政治的な面から香港政府にも大陸の中央政府‎にも極めて挑戦的な言葉遣いで、問題視されています。

NOWニュースチャンネルは、8月5日の報道で、二名(吳宏斌・中華廠商聯合會會長、郭振華・工業總會榮譽會長)の商工組合組織代表のコメントとして、「ストライキは好ましくない行為であり、好ましくない行為を被雇用者が行うことは、一日でも、一時間でも、雇用者側は同意できない」、「いまだに毎晩のようにデモがあるのに、(デモ参加者が政府に訴える要求の一つである)独立調査委員会が何を調査できるのか」などの批判的な意見を伝えています:‎

一方で、香港交通銀行(Bank of Communications)の主席アナリスト・戦術プランナーの羅家聰氏は、「消費で最も重要なものはサービス業方面の消費であり、一般的な経済活動の面から見ると、高額の商業的取引やインフラ産業などの業界が、ここ最近の事件で直接的な影響を受ける可能性は低い」とのコメントをしています。‎

具体的には、市民の活動が収束する気配を見せていないので、投資や金融に影響が出ることを危惧する向きがある一方で、アジアで最も自由な金融市場である香港を破綻させるような解決方法は誰にとっても得になるものではないため、行政当局も極端な手段で今回の事件を解決する暴挙には出ないだろうという、海外のアナリストの冷静な意見もあります。

決して短期間で解決する問題ではないので、推測や噂を必要以上に憂慮することなく、今後の動向を慎重に見届ける必要があると思われます。‎

また米中貿易戦争が依然激烈さを増している中で、中国が5G技術で世界的なリーダーシップを取ろうとする行為を封じ込めようとするアメリカの動きや、韓国を通じて日本製の戦略物資がイランやシリアなどに流れることを阻止する日米の連携行動が報道されるのを見ますと、今後香港をどのように扱うのが良いかという問題は、香港の中から見るだけでなく、国際社会の経済的な動向と政治的な動向の変化の中で観察するといった、外からの視点が必要であることを感じさせされます。

(出典元)

経済アナリスト「スト・デモと政府の衝突は経済情勢全体への影響は想像ほど大きくない」

https://news.now.com/home/local/player?newsId=357790

https://news.now.com/home/hot/player?newsId=357996&hot=1

https://news.now.com/home/hot/player?newsId=357989&hot=1

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参考情報:香港基本法 日本語訳より

ソース:香港ポスト(連載ですので、一つの号に全部が収録されているのでなく、全体を見るにはいくつかの号を通じてみることが必要です。下記は冒頭の第1章、第二章のみを抜粋したものです)
http://www.hkpost.com.hk/history/index2.php?id=12169#.XUhwfdIzaM8

香港ポスト自体は廃刊されましたが、サイト情報はまだ閲覧可能です。

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序言 

 香港は古来より中国の領土であったが、1840年のアヘン戦争以後英国に占領された。

 1984年12月19日、中英両国政府は香港問題の共同声明に調印し、中華人民共和国政府が1997年7月1日、香港の主権を回復することを確認。香港の返還を求める中国人民の長年にわたる願望を実現した。

 国家の統一と領土の保全を維持し、香港の繁栄と安定を保持するため、また香港の歴史と現状を考慮して、香港の主権回復にあたっては、中華人民共和国憲法第31条の規定、また「一つの国家、二つの制度」の方針に基づき、香港では社会主義の制度と政策を実施しないことを国家は決定した。

 国家の香港に対する政策の基本的方針は、中英共同声明の中で明らかにしている。

 中華人民共和国憲法に基づいて、全国人民代表大会が特別に制定した中華人民共和国香港特別行政区基本法は、香港特別行政区で実施する制度を規定しており、国家が香港で実施する政策の基本的方針を保障するものである。

第1章 総則

 第1条 香港特別行政区は中華人民共和国の不可分の領土である。

 第2条 全国人民代表大会は基本法に基づき、香港特別行政区で高度の自治を実施し、行政管理権、立法権、独立した司法権および終審権を享有する権限を香港特別行政区に授与する。

 第3条 香港特別行政区の行政機関と立法機関は香港の永住民が本法の関連する規定に基づいて構成する。

 第4条 香港特別行政区は法に依って香港特別行政区の住民とその他の人の権利と自由を保障する。

 第5条 香港特別行政区では、社会主義制度と政策を実施せず、現行の資本主義制度と生活方式を五十年間維持する。

 第6条 香港特別行政区は法に依って私有財産権を保護する。

 第7条 香港特別行政区内の土地および天然資源は国家が所有し、香港特別行政区政府が責任を持って管理、使用、開発し、貸し出しをするかあるいは個人、法人、団体の使用および開発に認可を与える。そこから得られる収入はすべて香港特別行政区政府が支配するものとする。

 第8条 香港の現行の法律、すなわち普通法、衡平法、条約や付属する立法、習慣法は、本法に抵触するかあるいは香港特別行政区の立法機関が改正するもの以外についてはそのまま保留する。

 第9条 香港特別行政区の行政機関、立法機関および司法機関は中国語以外に英語も使用することができる。英語も公用語とする。

 第10条 香港特別行政区は中華人民共和国の国旗、国章以外に香港特別行政区の区旗、区章を使用することができる。

 香港特別行政区の区旗は、五つの星をあしらった花蕊を有する紫荊花(バウヒニア)の紅旗とする。

 香港特別行政区の区章は中央に五つの星をあしらった花蕊を有する紫荊花を配し、周囲に「中華人民共和国香港特別行政区」および英文で「HONGKONG」と記入したものとする。

第11条 中華人民共和国憲法第31条に基づき、香港特別行政区の制度と政策は、社会・経済制度、住民の基本的権利と自由の保障に関連する制度、行政管理、立法および司法の制度を含め、いずれも本法の規定に基づくものとする。香港特別行政区立法機関が制定するいかなる法律も、本法に抵触してはならない。 

第2章 中央と香港特別行政区の関係

 第12条 香港特別行政区は中華人民共和国の高度の自治権を享有する地方行政地区であり、中央人民政府が直轄する。

 第13条 中央人民政府は香港特別行政区に関する外交事務を管理し、その責任を負う。

 中華人民共和国外務省は香港に外交事務を処理する機構を設立する。

 中央人民政府は本法に基づき関係のある対外事務を自ら処理する権限を香港特別行政区に授与する。

 第14条 中央人民政府は香港特別行政区の防衛を管理し、その責任を負う。

 香港特別行政区政府は香港特別行政区の社会治安を維持する責任を負う。

 中央人民政府から派遣されて香港特別行政区に駐屯する軍隊は、香港特別行政区の地方事務には干渉しない。香港特別行政区政府は必要に応じて社会治安の維持と災害救助のために、中央人民政府に駐留軍の出動を要請することができる。

 駐留軍は全国的な法律を遵守すると同時に、香港特別行政区の法律も守らなければならない。

 駐軍費用は中央人民政府が負担する。

 第15条 中央人民政府は本法第4章の規定に依って香港特別行政区行政長官および行政機関の主要な官員を任命する。

 第16条 香港特別行政区は行政管理権を享有し、本法の関連する規定に依って香港特別行政区の行政事務を行うことができる。

 第17条 香港特別行政区は立法権を享有する。

香港特別行政区の立法機関が制定した法律は、全国人民代表大会常務委員会に報告し、記録しなければならない。この記録は当該法律の発効に影響しない。

 全国人民代表大会常務委員会は香港特別行政区基本法委員会に意見を求めた後、香港特別行政区立法機関が制定した法律が本法が定めた中央の管理事務および中央と香港特別行政区との関係についての条項に合致しないと認めた場合、その法律を差し戻すことができるが、改正はしない。全国人民代表大会常務委員会によって差し戻された法律は直ちに失効する。当該法律の失効は、香港特別行政区の法律が別に規定したものを除いて遡及力を持たない。

 第18条 香港特別行政区で実施される法律は、本法と本法第八条に規定されている香港の現行法律および香港特別行政区の立法機関が制定した法律とする。

 全国的な法律は、本法の附属文書3以外、香港特別行政区では実施されない。本法附属文書3の法律は、香港特別行政区が現地で公布するか立法化して実施する。

 全国人民代表大会常務委員会は自らに所属する香港特別行政区基本法委員会と香港特別行政区政府の意見を聞いた後、本法附属文書3の法律を増減することができる。附属文書3の法律は、国防、外交と関係のある法律および本法で香港特別行政区の自治の範囲に属さないと規定されたその他の法律に限定される。

 全国人民代表大会常務委員会が戦争状態を布告あるいは香港特別行政区内で香港特別行政区政府が統制できない国家統一および安全に危機をもたらす動乱が発生して香港特別行政区が緊急事態に突入することを決定した場合、中央人民政府は関連する全国規模の法律を香港特別行政区で実施する命令を発令することができる。

 第19条 香港特別行政区は独立した司法権と終審権を享有する。

 香港特別行政区裁判所は香港の現行の法律制度と原則が裁判所の審判権に加えている制限を引き続き保持し、香港特別行政区のすべての案件に対し審判権を持つ。

 香港特別行政区裁判所は、国防、外交など国家行為に対する管轄権は保持しない。香港特別行政区裁判所が審理する案件が、国防、外交など国家行為の事実問題に及ぶ時、行政長官が当該問題について提出した証明書を取得しなければならず、前記の文書は裁判所に対して拘束力を持つ。行政長官は証明書を出す前に、中央人民政府の証明書を取得しなければならない。

 第20条 香港特別行政区は全国人民代表大会、全国人民代表大会常務委員会および中央人民政府が授与するその他の権力を享有する。

 第21条 香港特別行政区に居住する中国公民は、法に依って国家事務の管理に参与する。全国人民代表大会の確定した定員と選出方法に基づいて香港特別行政区に居住する中国公民は香港で香港特別行政区の全国人民代表大会代表を選出し、その代表は最高国家権力機関の活動に参加する。

 第22条 中央人民政府の所属各部門、各省、自治区および直轄市は等しく香港特別行政区の本法に基づいて管理する事務に干渉することはできない。

 中央各部門、各省、自治区および直轄市が香港特別行政区に機構を設立する必要がある場合には、香港特別行政区政府の同意と中央人民政府の認可を受けなければならない。

 中央各部門、各省、自治区および直轄市が香港特別行政区に設立するすべての機構とその人員は、香港特別行政区の法律を遵守しなければならない。

 香港特別行政区に居住する以外の国民が香港特別行政区を訪問する場合は認可の手続きを取らなければならず、そのうち香港特別行政区に定住する人数は中央人民政府の主管部門が香港特別行政区政府の意見を求めた後、確定する。

 香港特別行政区は北京に事務所を設けることができる。

第23条 香港特別行政区は国に対する謀反、国家を分裂させる行為、反乱を扇動する行為、中央人民政府の転覆、国家機密窃取のいかなる行為も禁止し、外国の政治組織・団体が香港特別行政区内で政治活動を行うことを禁止し、香港特別行政区の政治組織・団体が外国の政治組織・団体と関係を持つことを禁止する法律を自ら制定しなければならない。