【香港経済を追え Vol. 6】

多種多様な国や地域の人々が集まる国際都市・香港🇭🇰

様々な利権が絡み合うため、様々な国が関わってきます。

本日は、そんな香港の最新情報を3つのトピックを通してお伝えします。
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香港近況について、これから紹介する3つの話題は相互に関連しています。
いくつかの中国語メディアの中から抜粋したものを、ダイジェストでお伝えします。

1) 香港政府の政策報告「景気予想と税金還付の実施」
2) 香港の情勢とアメリカからの介入
3) 為替レートに見る香港からの資金流出

(1)香港政府の施政報告 「景気予想と税金還付の実施」(ケーブルテレビNOWニュースチャンネル8月19日午後の報道より)
https://finance.now.com/news/post.php?id=528195

香港政府の四半期ごとの政策報告が、先週発表された。経済成長率が下方修正されたことを受け、証券銀行なども今年の経済がマイナス成長と予測し、政府が納税還付を行っても経済刺激の効果は薄いと指摘。

香港政府財務長官 陳茂波氏の発表によると、当初2~3%だった年間経済成長率を0~1%に下方修正し、今年の第一・第二の四半期が前年比に対し後退を示しているので、第三の四半期もマイナス成長になるであろうと指摘。景気対策として191億香港ドルの納税還付を行うとしている。

香港の大手金融機関は更に低い予測をしており、ドイツ銀行で当初予測のGDP1.5%を0.5%に落とし、J.P.Morgan Chaseで通年成長予測を1%から0.3%に落としている。ドイツ銀行の指摘では、逃亡犯条例改定反対のデモ・米中貿易戦の膠着状態などの影響で、個人消費と小売の下げがさらに続き、米国連邦準備局の利下げも香港不動産を刺激する作用も大きくはなく、不動産価格は5月の最高値から下方10%止まりの修正と見る。

J.P.Morgan Chaseの見立てでは、政府の下方修正は逃亡犯条例改定デモや米国の関税引上げの影響などを反映したもの。また人民元の安値傾向は、大陸観光客の購買力を引き下げる要因となっている。メリルリンチも、「香港経済は今年の第三四半期でマイナス成長になる」と予測している。‎

2)‎香港の情勢とアメリカからの介入
信報財經新聞 2019年8月20日より

https://hk.finance.yahoo.com/news/%E7%89%B9%E6%9C%97%E6%99%AE-%E5%80%98%E6%9A%B4%E5%8A%9B%E9%8E%AE%E5%A3%93%E9%A6%99%E6%B8%AF-%E8%B2%BF%E8%AB%87%E5%8B%A2%E8%A7%B8%E7%A4%81-%E5%BD%AD%E6%96%AF%E5%91%BC%E7%B1%B2%E5%8C%97%E4%BA%AC%E5%B0%8A%E9%87%8D%E7%89%B9%E5%8D%80%E6%B3%95%E5%BE%8B-%E6%81%AA%E5%AE%88%E8%81%AF%E5%90%88%E8%81%B2%E6%98%8E-194000378.html

トランプは香港の逃亡犯条例改定案反対のデモについて、対中姿勢を強硬に変える

<<写真内タイムラインの内容>>

6月末:トランプはG20で大阪訪問中に、習近平に香港の取り扱いに関する北京への批判を弱め、貿易交渉を複雑化することを避けると約束する。

7月22日:自分は香港問題に介入することはしない。習近平のほうに重い責任があると述べる。

8月1日:香港での騒動は長期化するが、香港は中国の一部であり、彼らが自ら解決しなければならないと述べる。

8月13日:ツイッターで、初めて米中貿易協議と香港問題を関連付け、中国側が貿易協議で合意に達したいのであれば、まず香港問題を人道的な方法で解決するべきと述べる。

8月18日:中国が暴力によって「天安門式」に香港を制圧するようならば、貿易協議が合議に達することは困難だと述べる。

【Yahoo!経済ニュースに転載された「香港エコノミックジャーナル」8月20日の記事より】

トランプ氏:暴力で香港鎮圧となれば、貿易交渉は中断する。ペンス国務長官は、北京が香港行政特区の法律を遵守し過去に締結した英中連合声明の実行を呼びかける。

トランプ氏は自身のツイッターで、米中貿易戦争と香港の問題を関連付けると見える発言をしており、国家主席である習近平が人道的な方法で香港の問題を解決するよう促している。またトランプ氏は、貿易協議は国会の批准を得る必要はないが、アメリカ国会と国民の意見を汲んで、目下のところ貿易協議を締結する用意はないとしている。

外国メディアの分析では、アメリカ国内で共和党・民主党が一致して香港が中国に武力制圧されるのではないかと懸念し、トランプ氏への圧力を高めていることから、ここ数週間の間に香港問題について発言をするよう取組み姿勢に変化があったのではないかと見ている。

一方で中国外交部スポークスマン耿爽は、香港問題は中国内政問題であることを強調して、‎先の大阪G20での談話どおりに両国首脳が経済問題を会談を通じて解決するよう要求した。トランプは貿易交渉について進展していると認識しており、目下のところ協議締結する準備がないが合意に達することは米国以上に中国が望んでいることであり、米国経済に衰退の兆しは見えていないが、いかなる状況にも備えるつもりであると述べている。

ホワイトハウス経済顧問のラリー・クドロー氏はメディアの質問を受けた際、米中貿易の代表はこれから10日に電話で更なる交渉を続け、事務方の交渉に良い進展があれば実質的な会談につなげることが出来るとし、米国が、中国側の代表が訪米して交渉をする準備のあることを再度明らかにした。同氏は、アメリカ経済は緩和方向であり衰退の危険は非常に低く、消費市場の動きも好ましい状態であり、賃金も上昇傾向にあり、消費・備蓄の方面から見ても経済状況は良好であるとの見方を示した。‎

‎3)‎ 為替レートに見る香港からの資金流出
https://m.mingpao.com/fin/instantf2.php?node=1566213127012&issue=20190819

‎『資本移動の兆し?富裕層と企業が香港から資金運用先を変更か』‎
香港『明報』日報が「ウォール・ストリート・ジャーナル」掲載のアナリスト分析を引用して、‎‎7月頭から香港ドルの為替レートが下げ傾向であることを、一部には資金が外部流出を始めていることによるものと推定する。‎

報道によると、香港ドルの銀行間貸出金利がアメリカドルの銀行間貸出金利よりも高い位置にあり、香港ドルのレートが強くなるべきところで、7月頭で香港ドル対米ドルのレートが7.785‎であったのに比べて、本日付では7.844に落ちている。みずほ銀行主席アジア外為戦略アナリスト張建泰は、「香港・米国それぞれでレートは独立しているとはいうものの、皆が憂慮するのは資本の流出の兆しがあることで、株式の下げ傾向は一部の者が既に資金の移動を始めていることの証明となるかもしれない」と述べている。
国際銀行間決済機関であるTransferWiseは、数ヶ月前には香港に流入する米ドルは流出と比例するものであったが、8月期には香港に流入した金額は1米ドルに対して、2.64米ドルの流出があった。

シンガポールのコンサルティング会社Future-MovesのCEOであるデーヴァダス・クリシュナダスによれば、「富裕層と大企業を含め、‎顧客は個人資産と投資を香港から移動し始めているが、これは現在の騒動によるものというよりは、金融センターとして長期的な安定性に憂慮があるからだ」としている。‎
また業界筋からの情報として、「こうした動きは香港ドルを売って外国通貨を買っているものではなく、転換の準備をしているのであり、その数量も少量に過ぎず、また十数名の業界人は資金移転する動きはない」と述べている。‎