【香港ローカルニュース vol.20】

一旦は、あたかも沈静化したかのように見える香港での民主化要求のデモですが、そうした市民の声に正面から回答することを拒む香港政府の態度によって、小競り合いともいえる衝突は今もなお続いています。
そこで、本日選んだ話題は以下の2つです:

1 警察の行き過ぎた行動に対する独立『調査』委員会を求める市民に対して、香港行政長官は独立『検討』委員会を設けると言っているが、その委員会ですら、メンバーの選任にてこずっている。

2 旺角(モンコック)で道路に市民が許可なしに集まったところへ武装警察が多数出動し、数箇所で催涙弾が発射される。ネットニュースの取材記者が警官に身柄確保・逮捕された。

≪『検討』委員会 警察関連の議題は避けがたい≫

ヤフー香港のニュースまとめサイトに転載された東方日報 Oriental Daily 2019/12/15付けの記事から 

過去数ヶ月間、目抜き通りにブロックや石を置いたりレンガをバリアにすることが何度も行われた。

香港政府は独立『検討』委員会を立てて、条例改正反対の一連の社会情勢の原因を探ろうとしているが、委員会準備の責任者である労働・福利局(日本の厚生省に該当)の局長、羅致光は「警察の動きを詳細に調べるには至っておらず、警察と市民の関係など今日の状況を作り出すに至った要因をチェックするなど客観的な立場から調査をする代表者を招聘するには無理がある。警察は一連の事件で重要な部分であるため、検討する際には避けては通れない」と話した。

  また同局長はテレビ番組に出演した際に、「委員会の作業にはまだスケジュールはないが進展はあり、ここ数ヶ月間に複数の学者を招聘して意見書を求めており、数日内に回答を得る予定である。現時点で委員会のメンバーを招聘するのは難しいことではあるが、参加の意思を示す人物も現れているので、政党のメンバー招聘や外国の専門家招聘の可能性も排除せず、適切なタイミングで委員会の構成を公表する」と述べた。

「独立『調査』委員会」との 比較は不適切

同局長はまた、『検討』委員会では調査の権限がないではないかと政府外からの疑問の声について、「独立『調査』委員会との比較は不適切である。すでに事態がここまで大きくなっているからには事件の深層まで矛盾を追及するべきであり、独立調査委員会がやるかやらないかではなく、事件の積層した矛盾問題を長期的に検討すべきである」と述べ、「政府には承知しているが改革実行には推進力不足であることもあり、『検討』委員会はまず社会が直面している問題を明らかにするものだ」と話した。

警察と市民の信頼関係を損なった要因が何だったのかを探る

同局長は、「事象全体を捉える必要があるが、いつ警察が何をしたというような個々の警察の細かな活動を追及するよりも、警察と市民の関係で、こうした要因がどうして今日のような状態を生むに至ったのかを探ることも、この検討委員会の仕事の一部である」と言っている。

そこで、検討委員会が提出する関連意見を政府がきちんと受理するためには、政府側にも委員会の意見をヒアリングする責任があるとしている。政府がひとつの委員会に委ねて業務をさせるならば、政府側には耳を傾ける道義的な責任がある。これまでの例では、一般の委員会の活動であれば、通常政府に対して成される意見書は大体が受理されている。

データ分析を加えて報告の客観性を増す

過去には学者が行なった政策の研究を、政府が受理しないということはあった。(例:全民退保=市民全体に対する引退後の生活保障)。しかし個別の学者の研究を見ると、例に挙げているものは相対的に異なったものになる。今回、香港政府が招聘する学者の研究は、多くの事例を広い範囲から集めるものであり、1人2人の学者の研究結果ではないとしており、警察・市民の衝突の人数や程度などデータ化した情報を分析する検討過程を含んでおり、客観性を重視したものになるとのこと。

‎暴徒制圧武装警察隊が、新界沙田新城市広場(ニューテリトリー・シャーティンタウンプラザ)で職務質問とボディチェックをする様子。(東方日報カメラマン何偉鴻撮影)

≪ 旺角(モンコック)で、道路に障害物を置きゴミなどを燃やす事件が再発≫

ネットサイトの記者が1名公務執行妨害の疑いで身柄拘束し、連行される

2019年12月16日00:55付け【NOWニュースチャンネル】の報道から

九龍サイドの旺角(モンコック)で、数回に渡り警察と市民の間で小競り合いが起き、催涙弾が発射された。夜の8時から人がランガム・プレイスからポートランドストリートに集まり、そこへ到着した武装警察が職質をする形で人垣に威嚇した。市民がそれに不満を示すと、武装警察が警告なしに胡椒スプレーを無差別に噴射。そのうち、1人のネットサイトの報道記者が公務執行妨害の疑いで逮捕された。この記者は『癲狗日報』Mad Dog Dailyというネット媒体のニュース記者で、警察が2人の市民を逮捕する様子を撮影中、車道から歩道に下がるよう促されたが、同記者は既に歩道にいたため、それ以上どう退くのかと躊躇していたところに、胡椒スプレーを警官に正面から噴射され、うずくまったところを身柄拘束・連行された。

(報道記者と警官が口論になり、警官がいきなり胡椒スプレーを顔面に噴射する場面を含むニュース動画)

10時半、11時過ぎにも、市民と報道記者の小さな衝突が起こり、その度に武装警察は何度も群集を追い散らすために催涙弾を発射。西洋菜南街 Sai Yeung Choi South Streetでは車道に障害物を設ける者があった。山東街付近では1人の記者が催涙弾に被弾して倒れこんだが、周りの人に助け起こされてその場から離れた。12時を回っても群衆が散会しない様子を見て、警察はさらに警告の上、数発催涙弾を発射。

一方、九龍半島の東側の將軍澳Tseung Kwan Oでは、夜の10時ごろ、一部の市民抗議活動者が歩道のレンガを外して車道に投げ込む、ゴミ箱のゴミを撒き散らして点火するなどの行為に出た。交通妨害をしようと信号機を叩き壊すものも出た。