【香港ローカル ニュース Vol. 23】

収束が見えないデモと武装警察の対峙

1月5日の日曜日に上水(Sheung Shu<(中国大陸から香港へ越境して来て、スーツケースに各種日用品を入れ、手荷物として持ち帰る中国大陸の人々が大量に押し寄せる香港最北端の郊外の街)で、数万人の「水貨(非正規の輸出入品)反対」に対するデモが行なわれた。デモ終了後、一部の抗議活動者と武装警察が対峙する場面があり、その後警察は数箇所で無差別逮捕を繰り広げた。その際、武装警察が誤って、ショッピングモールのおとり(潜伏)私服警官に胡椒スプレーを噴射して危害を加える事件があった。

香港の北部の郊外住宅地(上水<Sheung Shui>)での政府抗議デモの終了後、武装警察がデモ参加者や付近にいた子供から老人までの住民をほぼ無差別で逮捕

1月5日の日曜日に上水(Sheung Shu<(中国大陸から香港へ越境して来て、スーツケースに各種日用品を入れ、手荷物として持ち帰る中国大陸の人々が大量に押し寄せる香港最北端の郊外の街)で数万人の「水貨(非正規の輸出入品)反対」に対するデモが行なわれた。デモ終了後、一部の抗議活動者と武装警察が対峙する場面が起きた。その後、警察は数箇所で無差別逮捕を繰り広げた。

百名以上の市民が無差別に職務質問や手荷物検査をされ、一部は戦争捕虜のように地面に這わされ後ろ手の姿勢を取らされた。警察側の発表では、今回の行動で40人が身柄を拘束されたという。警察官に取り囲まれて身柄を拘束された後、すぐに解放された市民は即座に警察側の職権乱用と無差別逮捕並びに非常識なボディチェックについて、「何の法的な理由も無いまま捕まった。」と非難の声を上げた。立法議会の一部の議員は、「現場では衝突というものがそもそも無く、警察側の行動が根拠のないものではないか」と疑いの目を向けている。

デモは午後3時頃に終了した後、デモ参加者は上水中心(Landmark North)や新都廣場 (Metropolis Plaza)付近に集まり、「上水を解放せよ、われらのコミュニティーを取り戻そう」などのシュプレヒコールを挙げた。同時に暴徒制圧の武装警察が新都廣場に現れ、散会警告の青い旗を振り、胡椒スプレーガンを市民に向けて威嚇しながら、その場を立ち去るよう求め、挑発行為をしないよう市民に呼びかけた。この時点で、周りは既に多勢の武装警察が取り囲んでおり、市民を相手に罵声を飛ばしていた。「守護孩子(子供を守れ)」グループメンバーである陳さんはバス停でバスを待っているところを追い立てられて、武装警察から胡椒スプレーガンを向けられ至近距離で目に噴射された。

「子供を守れ」グループのメンバー陳さんはバスを待つ間に武装警察にコショウスプレーガン
を向けられて追い立てられる。(撮影:董立華)
上水中心(Landmark North)では、おとりの私服警察官が武装警察に何度も胡椒スプレーを浴びせられ、委任証明を提示してやっと止めてもらえるという事件があり、その後、警察側に助け起こされてその場を去った。(中文大学キャンパスラジオ鄭家烜画像提供) 


武装警察が誤って、ショッピングモールのおとり(潜伏)私服警官に胡椒スプレーを噴射して危害を加える

午後4時頃、突然四方から多勢の暴徒制圧の武装警察が現れ、上水中心(Landmark North)のショッピングモール付近のスペースを取り囲み、市民に胡椒スプレーを浴びせかけて、およそ40~50人がボディチェックと身分証明チェックを受けた。一部の人は後ろ手を組まされ、地面にひざまずかされた。これと同時に大勢のマスク着用の私服警官が現れ、市民数人の身柄を拘束すると共に、付近の人に胡椒スプレーを浴びせかけた。しかし、マスク着用の私服警官は、委任証明の提示をしなかった。

潜伏の私服警官への胡椒スプレーの誤射が起きた後、さらにモールの武装警察は増強され、突破防止の人垣が作られた。モールには強烈な胡椒スプレーの異臭が漂い、数名の胡椒スプレーガンあるいは警棒を構えるマスク着用の警官と市民が罵声を飛ばし合う場面があった。

上水中心(Landmark North)や新都廣場 (Metropolis Plaza)一帯では、百名を越える市民が警察側に後ろ手を組んでひざまずかされ、ボディチェックと身分証明チェックをされたが、現場には血痕や血のついたガーゼやティッシュがあったため、逮捕された一部の市民は頭部を負傷しガーゼを巻く必要があったと思われる。逮捕された市民は、結束バンドで縛り上げられて、観光バスに乗せられていった。

いったん取り囲まれてから釈放された陳さんによると、20人くらいの警官に動くなと急に停められ、膝を付くか、しゃがむように命令されたが、「地面はガラスの破片があった」。「自分は逮捕されるのか?」と尋ねると、警官は「チェックだけだ」と言ったが、顔を撮影され、個人情報を取られ、身に着けていたものをチェックされた。陳さんは、「個人情報がどこかへ送られ、(反政府を表明する)「ブルーリボン」グループのリストに載せられるのではないかと心配に思っている。」ようだ。その一方で、警官の一部には情緒激昂するものもいて、市民が「香港を解放せよ、時代の革命」というお決まりのスローガンを叫ぶ声に反応して汚い言葉で言い返すのが聞こえたとのこと。

警察の行動には法的根拠がない

民主党立法議会議員の林卓廷氏は、警察側は一般市民をミスリードしたと非難している。抗議活動は午後2時30分に出発し、2時50分にデモ終了の宣言をするはずがなく、デモ活動の許可通知書も午後5時までとなっていた。ところが4時くらいにはデモ参加市民の出口付近を多勢の警官が塞いで大勢を逮捕したのは道理が立たない。

逮捕前に上水中心(Landmark North)付近で、市民と警察の小競り合いのような衝突はなかったので、警察の行動には逮捕の根拠が全くなく、元日のコーズウェイベイでの大量逮捕と同じだと、議員の林氏は疑いを表している。「四の五の言わさず、引っ立てられれば引っ立てる。理由もいわずに、間違って引っ立てることはあっても、逃しはしない」。

医院管理局によると、当日の夜9時30分までで、このデモ関連で3名の男性が北区医院に運び込まれており、年齢は14歳から22歳までにわたり、みな状況は安定しているとのこと。

夕方、警察側のFacebookでの供述によると、4時過ぎに解散を警告したにも関わらず、一部のデモ参加者が傘を盾のようにして立てこもり、通行人を取り込もうとして、市民に危害を加えようとしていると見て、4時15分に強制排除の行動を取ったものであり、非合法集会の容疑に基づくものであるとしている。

大量数のマスク着用私服警官が上水中心(ランドマーク・ノース)に胡椒スプレーガンを持って現れた。撮影:何量鈞


出典:蘋果日報アップルデイリー(香港) 2020年1月6日電子版

https://hk.news.appledaily.com/local/20200106/V2LE6ZGHV4E5P3R4R6WA4T4OY4/

上記のサイトアドレスには、現地撮影の動画報道があります。

記者:李詠希 羅智堅 張文鈴


IHS Markit(『IHSマークイット』、ロンドンに拠点を置く情報調査プロバイダー会社)香港PMIの直今の分析として、七月期PMIが十年来で最大の下落を示す

<内容ポイント>

1-新たな発注と生産量が大幅に下落する。

2-貿易戦争と反政府デモにより、受注需要全体が打撃を受ける。

3-事業者の自信が2016年1月以来最低に。

最新のPMI(Purchase Manager Index調達管理者指数)が示すところでは、香港の民間企業経済は第三四半期の始めから悪化の一途を辿り、その程度は10年来で最も厳しいものだった。業務のボリュームと新たな受注数は大幅に降下し、さらに在庫への投入も目立って落ちており、どれもPMIを引き下げる要因となっている。

季節変動調整後で、7月期の香港調達管理者指数(PMI TM)は、6月期の47.9から43.8に下がり、民間企業経済の景気度数が2009年3月以来最低にまで急落した。しかも現状の下げのサイクルは16か月にまで拡大している。

PMIタイトル指数は、民間企業経済のパフォーマンスを総合的にバランスさせる指標であり、新たな受注、生産、就業、サプライヤーのリードタイム、調達品の在庫など五つの項目の指標を計算した結果に基づいている。この数値が50.0以上の位置にあるならば、経済全体が好転していることを表す。

調査データによると、米中貿易戦争の続行中であり、加えて最近の大規模デモ活動があり、市場が香港ブランドの商品とサービスに対する7月期の需要を目に見えて削ぐことになった。企業が新たに受注する業務のボリュームも急速な委縮をみせ、その下落スピードは10年来で最高となっており、原因の一つは、7月期に中国向け売り上げの新規受注ボリュームが直近過去4年で最高速度の萎縮を見せたことにもある。

疲弊した市場の需要はビジネス活動のマイナス要因であり、借り手なしのままの不動産物件はより高い水準で止まっている。企業の7月期生産量は大幅に引き締まり、2009年の第一四半期以来、最大の下げ幅を見せている。一方、バックログ仕事量(受注残・未処理分)は一年半以来、月毎に落ちる傾向を続けており、7月期はさらに踏み込んだ減少を見せている。

減産が続く中、企業の当然の傾向として調達規模を減らしており、現今の在庫を消化していくだけで生産には充分となるため、仕入れ在庫の消耗率を新記録の16%に押し上げた。インタービューに応じた業者は、セールスの落ち込みや、業務の先行きが悲観的であることなどが、調達在庫の大幅下落の原因だとしている。

経営者の自信を推し量る生産予想指数も三年半で記録更新の低さに落ちている。ここからわかるように、業務の先行が芳しいものでないと企業が感じているのは間違いない。インタビューに応じた4分の1の企業が、これから先12か月の生産量が緊縮傾向にあると見ている。

IHS Markit 経済指数報告の出典: 
https://www.markiteconomics.com/Public/Home/PressRelease/36d60c2af59f42b4a1d9fa95d8165a9b  一般公開の資料であるPDFが開けます

出典:

https://www.881903.com/Page/ZH-TW/newsdetail.aspx?ItemId=1245993&csid=261_341

881903ラジオ局の経済ニュース (881903.com サイトの2020/01/06 付けニュース)