【香港ローカル ニュース Vol. 35】

春らしいウキウキした期待感のないまま2020年の4月も下旬に入りました。日本のメディアでは通常のインフルエンザと何が違うかという論議を見かけますが、一方、香港での報道は少し違って、「新型肺炎」、つまり呼吸器に重篤な損傷を引き起こす「肺炎である」というはっきりした見方で一致しているようです。

また、日本では世帯ごとに補助金を出すとの論議が進んでいますが、香港では企業の雇用保障により市民の生活を支える方向で、企業への賃金補填が検討されています。


▶︎【新型肺炎感染防御基金】

雇用保障プラン五月末までには申請開始。雇用主は承諾書に署名が必要。  (2020年04月17日 15:23)

  政府は先に、第二弾のコロナウイルス対策基金プラン(抗疫基金計劃)を打ち出し、同時にプランに関連する詳細文書を立法議会財務委員会に提出した。
  第二弾コロナウイルス対策基金プランの重点の一つは、「賃金補填」による「雇用保障」プランであり、雇用主に指定された月について、従業員に実際に出された給与の50%を肩代わりするもので、各従業員の補填額上限は毎月9,000ドルで、6ヶ月間としている。

立法議会の文書がプランの詳細を明らかにしているが、文書によれば、この補填金は2回にわたって給付される。第一回は今年5月末前には申請受付し、今年6月の第一週には締め切る。目標では6月内に第一回分補填額を雇用主に給付し、雇用主が今年6月期から8月期に払う賃金を補助するもの。

 第二回の補填金の申請タイミングは、政府が適時公布するとしており、この補填金は今年9月に給付され、9月から11月の給与支払いに充当される。

このプランに参加を希望する雇用主は承諾書にサインすることが必要で、承諾内容のポイントは下記の3つ:

  • 補填金を受け取る期間内に人員解雇をしないこと、また政府からの賃金補填金は全額従業員給与のためにあてること。
  • 雇用主はそれぞれの企業の現状に従って、全時間正社員僱主またはパートタイムの形態で関連する従業員を雇うことが出来る。
  • 補填対象期間に、「MPFおよびORSO計画の仕組み内で賃金を受け取る従業員」を解雇してはならない。これに反した場合、政府は当該の補助金を回収した上でさらに罰則を課す。

香港政府の指摘では、概算でおよそ26万名の雇用主、150万名の従業員、21.5万人の自営業者がこのプランの受益者になるものと見ており、政府は810億香港ドルの支出を見込んでいる。

出典: HKET Topick より 

https://topick.hket.com/article/2620501/%E3%80%90%E9%98%B2%E7%96%AB%E6%8A%97%E7%96%AB%E5%9F%BA%E9%87%91%E3%80%91%E4%BF%9D%E5%B0%B1%E6%A5%AD%E8%A8%88%E5%8A%835%E6%9C%88%E5%BA%95%E5%89%8D%E5%8F%AF%E7%94%B3%E8%AB%8B%E3%80%80%E5%83%B1%E4%B8%BB%E9%9C%80%E7%B0%BD%E6%89%BF%E8%AB%BE%E6%9B%B8


▶︎潜伏期間を28日に調整 集合禁止条例延長へ    (2020年04月20日 02:20)

4月から「海開き」となる香港では数百名の水泳客がレパルスベイの砂浜に繰り出し休日を楽しんでいた。多くの人が接近した状態でマスクを外して知り合いと顔合わせしている。(撮影:朱永倫)

 香港で、連続で新型肺炎感染の新規確認者が単日で一桁台に留まる状態が第8日目となり、感染拡大の防止に光明が見えるかと思いきや、昨日新たにローカルでの感染確認者が見つかり、各種の感染対策の法律からの解禁の日から、また大きく後退することになった。

集合禁止令などの臨時措置は今週木曜日23日で期限を迎えるが、政府の防疫監督委員会の専門アドバイザーや香港中文大学の呼吸器系統部の客員教授である許樹昌は、これらの関連法令は延期されるものと見ている。28日間に新たな感染確認者が出なければ無難であろうとの見方だ。医学会の梁子超は、「集合禁止令がなんら効果を結ばないのであれば、社会が正常な流れを回復させることは持久戦に持ち込まれる場合に助けになるが、個人個人の衛生を強化することは必要である」と述べている。

許樹昌は19日午前に、「28日の間に新たなローカルの感染確認者がでなければ、公務員の執務を復活させ、公立の娯楽スポーツ施設の再開、更には集合禁止令・飲食業に対する制限措置の緩和につながるかもしれない」と述べている。
「潜伏期二つ分、つまり28日間で、ローカルの新規感染例がなく、地域社会で異常なクラスター感染爆発が起きなければ、相対的な意味で状況は押さえ込まれたと言ってよいでしょう。その時点で政府は改めてどのように制限緩和をするかを判断することになるでしょう」としている。

患者の入院日を計算の起点に

  しかし、衛生防護センターは、午後、ローカルの感染確認事例があったこと、潜伏期の算定を見直すべきことを発表した。衛生署衛生防護センター伝染病処チーフの張竹君の指摘によると、同患者は今月6日に症状が出ていたが、二つの潜伏期は通常患者が入院した日を「ゼロ日目」として計算しているところ、「患者がローカル社会から隔離されたので、さらなるローカルでの伝染はない」としている。資料によると、患者は4月18日にウイルスサンプルの採取をした後感染確認されたが、これは28日の潜伏期が早くても来月になって終わることを意味する。張チーフは、医療の立場から言うなら、防疫対策の施策は「長ければ長いほどよく、徹底的であればあるほどこのましい」はずだと述べている。

しかし医伝染病顧問委員会代表委員である梁子超は、集合禁止令の有効性に疑問を呈し、「集合禁止令はなんら効果を挙げられない。朝の交通(手段)でも、中にたった4人しかいないということはありえないし、スーパーにしても、食堂でお持ち帰りを買って帰るにしても、四人だけしか並んでいないなどということはありえません」。同氏は、防疫は持久戦であり、ひとつの方法,長期にわたって市民に出掛けることを避けて家に留まるよう求め続けるしかないという。レパルスベイ水泳ビーチ(香港島南部の砂浜のあるビーチ)は昨日の日曜日(4月19日)人が集まることで災難になることを絵に描いたような様相で、水遊びに興じる百名を越す市民の35%は一緒に泳ぎ、日光浴を楽しんでいたが、ビーチシートはぴっちりと敷き詰められ、ソーシャルディスタンス1.5メートルは見るからに不足しており、ほぼほとんどの人がマスクを外していた。

梁子超が指摘するところでは、「社会が正常な流れを取り戻すことは、持久戦となる防疫の戦いに有利には働くが、防御はいっそう高めることが必要」という。許樹昌も同様に、「飲食業が運営を正常に戻すことは出来ると考えているが、防疫対策は維持を続けることが必要であり、ワクチンが現れるまでは気を抜いてはならない」と言っている。(記者:張雅婷)

出典:蘋果日報‎  

https://hk.news.appledaily.com/local/20200420/3LTMUWM7SZCSZCNT6Q2WEEJB3M/


▶︎財政委員会は17時間ほどに渡る審議の末予算支出申請を可決   (2020年4月18日 17:05)

立法議会財政委員会はおよそ17時間の審議の末、約1300億ドルに及ぶ第二段防疫対策基金の予算支出申請を可決したが、建制派(親中保守)は民主派が表決を遅らせて市民が益に与るのを妨げていると非難の声を上げた。その一方、民主派は中聯辧(中国香港マカオ事務連絡オフィス)が予算支出に反対する議員に脅しを掛けていることに不満をぶつけた。議案を審議待ちにする動議を提出したが否決に遭った。

財政委員会二日目は、約1300億ドルの防疫対策基金を審議。泛民(民主化要求側)には、中聯辧(中国香港マカオ事務連絡オフィス)が先日、防疫基金に反対して、審議待ちとする議案を提出した議員を非難したことに不満を抱いている。

泛民の認識では、予算支出を無理に急いで可決する必要はなく、企業存続のための政府補助金プランに抜け穴があるまま押し通されようとしている。

懸案事項を中止する議案は建制派側に否決され、泛民から提出された20項目の強制力のない臨時動議を処理することとなった。これには、失業援助金の設立、65歳以上の被雇用者の支援などを含んでいる。建制派議員はすべてが反対票を投じたが、結果として安易に幕を下ろす形にしたくないだけでということを強調した。

1,375億ドルの予算支出申請はおよそ17時間の討論の末、建制派41の賛成票、民主派反対の22票で可決された。鄭松泰と陳沛然の両氏は棄権した。

出典:NOW 新聞台 ローカルニュースより 

https://news.now.com/home/local/player?newsId=388158


▶︎【新規感染確認者ゼロ】

許樹昌:警戒を緩めてはならない。集合禁止条例もこのままで。(2020年4月20日午後)

 今日香港は、新型コロナウイルス感染確認者の新規事例が現れなかった。これは3月初頭以来2度目のゼロ報告となる。専門家の一部は警戒を緩めることは出来ないと見ており、更に一定期間のモニターが必要であり、集合禁止令などの施策もまだ一定期間続ける必要があるとしている。

  香港はこの1ヶ月半以来、再び単日でゼロ感染確認がない日となったが、衛生防護センターと医院管理局は毎日午後4時半に行う、感染状況の発表を行う記者会見を見合わせることになった。

 香港では1月23日に最初の二件新型コロナウイルス感染の事例が確認されてから、今に至るまで累計1025件の感染事例が記録されているが、一日だけで見た時に感染確認がなかったのは3月5日が最初だった。

 最初の10件の感染確認はいずれも外地からの持ち込みであり、その後地域社会での感染連鎖が現れ、更にクラスター感染が現れた。これには13人が觀塘(Kwun Tong、九龍サイド西の商工地区)のしゃぶしゃぶ店で会食して集団感染した事例、19人が北角(North Point、香港島東部)の仏教施設で集団感染した事例が含まれる。感染拡大の第一波は、3月初頭に少しだけ緩やかになってきた。

 この後、海外での感染状況が悪化するに従い、海外居住の香港人、特に留学生が香港に戻るケースが急増し、3月だけで毎日の新規感染確認者の事案が二桁台に上った。3月27日には一日あたりでは最高数を記録し、感染確認者は65人に上った。ほぼ同時に、香港ローカルでの大型クラスター感染が発生したが、その多くは飲食や集会に関係のあるもので、その中でもバンドとバーでの感染クラスターは第四代まで再感染が続き、90名あまりが巻き込まれた。

 香港へ戻る者の数が減るに従い、また政府が集合禁止令を施行し、飲食店の取り締まり・マージャン店などの会員制クラブの閉鎖などにより、感染確認者の事例は今月減少傾向に戻り、連続8日間、新規感染確認は一桁台に留まった。

 香港中文大学呼吸器系統部客員教授許樹昌の意見によれば、現在も警戒を解いてはならず、引き続き集合禁止令は維持しなければならないとしている。28日までローカルの感染確認事案がゼロになる見込みは薄く、一桁台を維持できるならば、また感染経路の不明なローカルの感染爆発が起きなければ、上出来であろうと述べている。

補足:
画面に見える「文憑試」 = DSE: DIPLOMA OF SECONDARY EDUCATION中等教育終了試験は、いわば日本の高校の卒業試験のようなもので、大学受験資格として必須となるため、今まで延期を重ねて来たが、この4月中に開催されることが決まっており、その会場での感染防止のため、万全の策が講じられている。

出典:NOW新聞台 ローカルニュースより 

https://news.now.com/home/local/player?newsId=388339&home=1