【香港経済を追え vol.28】

景気後退の中で、iBondの新規発行分の利回りに期待

債券投資は、通常銀行預金よりも利率が高く設定されている投資物件ですが、香港政府の発行するiBond はインフレ率に連動して利率が変動するという、元利保証型の債券です。

今年の発行分は10月23日からで100億香港ドル分ですが、市場動向によっては150億ドルになるかもしれないとのこと。最低一口、一万香港ドルからの申請となっています。期限は3年で、半年に一回利息支払がされます。最新のものは利率2%と決定されました。民間企業の資金調達の社債と違って、iBondは香港政府の歳入の確保が目的ではなく、香港市民の益になる投資のオプションを与える目的で始められて、今回が7回目となります。これまで最高の利回りは6%でした。

新規上場株の購入と同じ手続きで購入することとなり、香港証券取引所での直接取引の手続費用は額面の0.15%ですが、外部の証券会社経由でも購入が可能となっています。

ニュースソース【Now新聞台】 2020年10月4日 16:19

https://news.now.com/home/local/player?newsId=407790

新たなiBond~利回りインフレ率連動型の公債、150億ドルが11月に発行されることに決まり、10月23日が申込引受日となった。最低保証利回りは2%となっており、立法会議員や学者も悪くないリターンだと考えている。

前回から4年ぶりに香港政府が新たなiBondを発行し、総額100億ドルとなる。財政長官の陳茂波氏は自身のブログで、「準備作業はすでに始まっており、詳細はすぐにも発表される」とした。

※参考資料(中国語)
https://www.bowtie.com.hk/blog/zh/ibond/

満十八歳以上の香港IDカードを持つ市民であれば、購入可能。

陳氏によれば、最低保証利率2%で半年ごとに配当金が支払われ、以前よりも保証は高く、現況の超低利息の金融環境ではかなり魅力的な条件となっている。

同氏によれば、世界的な低利息の金融状態はまだ長期にわたって続くことが予想され、海外の主要市場も相次いで貨幣緩和政策を打ち出している中、中長期のインフレがもたらすリスクは見逃すことのできないものであるので、iBondは中期型で元利保証という二つの利点が活かせるだろうとしている。

香港政府が2011年から発行を始めたiBondは、これまでに6回発行されており、利回りは最高6.08%に達しているが、最低の時は1.02%のみだった。立法議会の議員張華峰(金融業界部門)氏は、「保証利回りが2%にまで引き上げられているので市民にとっても魅力あるものだと思う」と述べている。

同氏は「今の株式市場はリスク要因が複雑で、政治的なもの、一般市民では負担しきれないかもしれない浮き沈みが多くあります。iBondが2%の利回りでも悪くないですが、もし3%まで行けば理想的ですが、他の金融商品とのバランスも取らなければなりません。たとえば後日出てくるシルバー債券[注1]も銀行の資金運用に影響を与えるかもしれません」。

[注1]シルバー債券は、同じく香港政府が一般市民を対象に発行する債券で、こちらも最低保証の利回りを設定しているが、具体的な利率はまだ発表されていない。また譲渡制限が掛かっており、セカンドハンドの市場流通はさせないことになっている。


香港では連続二か月デフレを記録しているので、この利回りのiBondへの期待は大きいとする学者もいる。

中文大学劉佐徳グローバル経済金融研究所[注2]常務所長の荘太量氏によれば、「現状インフレ率がマイナスとなっている中、2%の利回りはかなり有利です。銀行に現金をおいていても利息が付かないので、以前も付きませんでしたが、利息がすこしだけ高くなることはあっても、以前はインフレがあって2%を越える利率もありましたが、いまはゼロ、もしくはマイナスインフレの状態です。ですから、今のインフレを考えるとたとえマイナスであってもインフレ率より実質は2%を超えるものになります」。

[注2]香港中文大学劉佐徳グローバル経済金融研究所は、同大学の教育・学術の実力蓄積を結集して、中国の金融システムの開放と貨幣政策に有効な政策を提案する研究機関として2010年に設立されたもので、中国のほか、G20メンバーに含まれていない国の中央銀行や監督省庁に諮問セッションを行うなど、国際金融に利する知識やプロの経験を高める活動をしている。

財務長官陳茂波氏の指摘するところでは、「後発のシルバー債券と共に、二種類の債券の発行総額は130億香港ドルに上り、債券引受申込の反応が理想的であれば、追加発行も考慮する可能性がある」とのこと。

■参考データ■

発行年度 株式コード 年利 一債券あたり利息
2011年 4208 3.38% – 6.08% HK$1358.16
2012年 4214 3.48% – 4.72% HK$1243.45
2013年 4218 2.57% – 4.72% HK$1144.33
2014年 4222 1.27% – 4.95% HK$856.96
2015年 4228 1.27% – 2.68% HK$623.01
2016年 4231 1.02% – 2.58% HK$617.16