【香港経済を追え vol.30】

Work-From-Homeが新たな就業形態に。商業ビル家賃もじりじりと値下げ傾向へ

スタンダードチャータード銀行が来年からWFH(Work From Home, 在宅勤務)政策を実施すると発表。実施は香港全域に渡り、職員は就業時間(勤務時間と日付を含む)を選ぶことが出来る。就業場所については銀行のオフィスでも、オフィスに近いワーキング・ポイントでも、職員の自宅でも良く、多くの職員はこの三つを混合させた形態を選び、ある日はオフィスで、ある日は自宅でといったような形態になるだろうと予想されている。

同行CEOによると、「現在90%の職員がリモートワークの形を取っており、混合した就業形態と人員削減は別のことである」としている。WFH自体は確かに人員削減そのものではないが、職員の仕事内容や身分は大きく変化する可能性がある。最終的な目標は、企業として固定数の職員と賃貸コストの削減であることには間違いない。

WFHという呼称は、かつては通常フリーランスで働く環境を指すものだったが、コロナ禍の前でも、少なくない企業がプロジェクトベースのアウトソーシングの仕事量の率を増やしているという事実がある。スタンダードチャータードにとっては、WFHは今回正式に始まった、試験的なものではなく、既に直接実行したことのある手法である。一年近くが過ぎて、企業各社もWFHの形態での経営運用に慣れてきており、仕事の配分が重点ではなく、どのように価値を評価するかが焦点となる。

今後、WFHの職員は、台風警報八号(現行雇用条例では被雇用者が出勤しなくてもよいレベルの暴風雨警報度)でも『出勤』しなくてはならない他、休暇を取って旅行の場合でも全天候でもスタンバイしなければならなくなる。新たなテクノロジーの下で、すべてのデータはクラウドに置かれるので、ケイタイでも会社のパソコンに直接アクセス出来るので、「出来ません」と断る口実がなくなってしまう。

(データのチャートの日本語訳は、下に示しています)

このようなコンビニのセブンイレブンのように、全天候オープンのWFHを謝絶するとなると、身分を変えてフリーランス契約社員になり、業務毎またはプロジェクト毎に収入を得ることになり、これは企業にとってはコスト節約の材料になる。医療保険やMPF(法定退職金積立金)などの固定費を省けるほか、将来的にさらに多くの項目で節約になる。例えば、実体オフィス賃貸面積が大幅に減り、今後商業ビルの賃貸料が、コロナ禍が抑え込まれたとしても、WFHという新たな就業形態により、値下げ方向に向かうしかないと思われる。

差估署[税務局の所得税歳入とは別に、土地の使用に対する公課(不動産使用料)を管理する政府機構]の資料では、最新四半期(6月期から9月期)の商業ビル賃借料指数は238.7となっており、前年通年平均と比べ19%のダウンとなっている。前期全体での商業ビル分譲価格指数は456.8となり、前年通年平均と比べると16%のダウンとなっている。戴德梁行(ヨーロッパベースの不動産コンサルティング法人、Debenham Thouard Zadelhoff略してDTZと呼ばれる。香港ブランチの名称「梁」は、測量士であり元行政長官であった梁振英の、企業合併前の建築測量事務所を指す)の最新第三四半期のオフィス報告によると、商業ビル全体の空室率は11.6%に上昇し、15年で最高水準を記録した。セントラル地区、ワンチャイやコーズウェイベイなど〔いずれも香港島サイド〕の都市中心部の下げ幅が一番大きく、オフィスのマイナス収容量は170万ドル平方フィート(約15万8000平方メートル、4万8000坪)にまで上り、それぞれの区域のトップクラスのフロア面積では62.6万平方フィートとなり、四半期ごとで見ると8%の上昇となり、関連する空室率を11.6%に押し上げる要因の一つとなっている。

最新の数字で2003年のデータと比較してみると、全体の商業ビル賃貸料指数累計は2.2倍に達してはいるが、売りの価格指数は6.4%という爆上げとなる。コロナ禍の下、商業ビルのマーケット急転悪化はまだ第一波に過ぎず、各企業がWFHの比重を広げていくにつれて、不動産契約のボリュームも減少し、商業ビルマーケットも将来一、二年で今年の小売業マーケットで起きた「投売りの売値半額」という局面を追々再現するだろう。

ニュースソース:アップルデイリーネット電子版  更新時間 (HKT): 2020.11.08 02:00

https://hk.appledaily.com/finance/20201108/PCLAO2JWNFGG3GYCEMEXEOIYN4/?fbclid=IwAR1FDgy5GIANEuGNdjnQaB3LRw4n61v8SsoJYhxQCBNP2bg9Hsqs-RQ7Df0