【香港経済を追え vol. 39】

香港株式は丑年証券取引所営業初日から上昇株(紅盤)が31,000ポイントに迫る 

◆短期で収益の出る香港銘柄の重要ポイント

・資金がアジアパシフィックエリアの株式市場に引き続き流れ込んでおり、日本では 2月15日、 日経平均株価が伸びて3万の壁を破り、30年ぶりに最高値を記録した。
・「‎港股通=香港ストックコネクト」〔香港・上海・深圳証券取引所が連携したプログラムで、国際投資家と大陸本土の投資家が、それぞれ現地の証券所とブローカーおよび決済システムを通じて相手側の市場の証券取引できるようにするもの〕は、木曜日2月18日に営業再開。大陸の資金が香港の株式市場に流れ込む趨勢は変わらない見通し。

・香港での新型コロナ感染拡大が落ち着き始めれば、ローカルの物件賃貸業関連銘柄・小売業関連銘柄はこれまでの落ち込みをリベンジする期待も。

【中欄】

2009年から2021年の取引初日の成績を比べると、2021年初日の成績は2018年の最高額を越える勢い。

: 香港では画像や表の中で、値が上がった株銘柄を▲緑の三角でマークするが、銘柄自体のことは“紅盤”(赤い銘柄)と呼ぶのが慣わし。

【右欄】

注: 香港証券取引所の「藍籌ブルーチップ」は、各業界で業績がよく、財務状況の透明性・時価総額が高く、経営が安定しており、収益性・経営の安定性・毎年の配当金配当が良く、経済の浮き沈みの中でも利益を上げている優良企業の株銘柄を指し、50銘柄が指名されており、上記のほか、小米〔シャアオミイ、通信機器メーカー〕HSBC、金沙中国〔Sands Chinaマカオの「ザ・ベネチアン」を運営するマカオ法人〕、騰訊テンセントホールディングス、アリババ、チャイナ・モバイル、中国銀行香港、AIA、電能実業〔Power Assets Holdings 商号は香港電灯Hong Kong Electric〕などがある。

香港証券取引所は、辛丑牛年(かのと うしどし)2月16日火曜日から新年一日目の営業を始めた。旧暦新年休みに入る前のハンセン指数の勢いをそのまま引継ぎ、またアジア・パシフィックエリアの株式市場も月曜日2月15日から一斉に上がり始め、シンガポールでの売買、俗にいう『黒期』〔ブラックマーケット先物取引、香港の先物取引市場を介さずにブローカー経由で取引されるオフショア先物〕の香港銘柄株の指数は30,500ポイントを超えており、先週木曜日(11日)ねずみ年の最終営業日のハンセン指数終わり値30,173ポイントに比べて、プレミアム部分が400ポイント越えとなった。アナリストによれば、グローバルな投資家は積極的な意欲を見せており、外資は引き続きアジアパシフィックエリアに流れ込み、大陸の資金が火曜日・水曜日の二日間「不在状態」〔上海・深圳証券取引所は2月18日木曜日から営業再開〕ではあるが、注目銘柄のハンセン指数は火曜日から好調で、31,000の大台に乗る可能性が高い。

香港株は、先週木曜日旧暦の大晦日は半日だけの営業だけだったにもかかわらず、ハンセン指数は上昇傾向134ポイント(0.5%)、平均出来高30,173ポイントであった。ねずみ年全体の成績をまとめれば、ハンセン指数は通年で2,223ポイントの急上昇を見せ、一群のブルーチップ銘柄の成績が目立った。

◆個々の具体的銘柄について

「美團(03690)」〔Meituan-Dianping、中国国内に営業母体を置くネットショッピングのサイトおよび口コミサイトを運営する企業。上記、ピンクの右側のチャートの注を参照;(括弧)内の数字は取引所でのコード〕は、去年12月になって正式にブルーチップ入りを果たしたばかりだが、年内だけで3.3倍の急上昇を見せ、最高の成績の株となった。先週木曜日の最終営業日だけで3%伸びて、株価は445香港ドルに達した。

「薬明生物(02269)」〔Wuxi Biologics、大陸最大手のバイオ製品メーカー〕と「吉利(00175)」〔Geely Automobile Holdings、大陸の自動車生産・修理部品メーカーグループ〕の上げ幅が美團の後を追いかけ、ねずみ年の決済額はそれぞれ2.5倍と1.2倍を超えた。香港の取引所が休止の間も、周囲からの攻勢は強めで、アジアパシフィックエリアの月曜日の日中中間速報では、日本の証取の終値が3万より上で高止まりをキープしており、前日で564ポイントの伸び(1.91%)により30084ポイントに達した。これは30年間の最高値で、韓国・オーストラリアの証取でもそれぞれ1.5%、0.9%の伸びを出した。

アジアパシフィックの速報では、オフショア先物のプレミアムが400ポイントを出す

米国証取は月曜日が「プレジデント・デイ」で休日だったが、米国株の三大指数は先週金曜日(12日)にどれも終値最高を記録した。ADRの香港銘柄比例指数は金曜日に30469ポイントを記録し、木曜日の香港終値に比べ、296ポイント(0.97%)の伸び。

‎◆個々の具体的銘柄について‎

「騰訊‎テンセント(00700)」と「HSBCホールディングス(00005)」のADRは香港での先週終値に比べ、それぞれ1.5%、1.4%の上昇を見せた。週末の間に各国で新型コロナ新規感染確認者が減少傾向を見せており、これに従い米国の経済刺激政策が改善する期待が高まり、投資家に若干の楽観的な機運をもたらした。そのため、証券取引所が閉まっている間も海外での動きを見ると、火曜日2月16日の午前1時30分時点でのオフショア先物は30,574ポイントを記録しており、香港市場終値に比べ401ポイント高かった。

過去12回の旧暦新年初日の香港の注目株の成績をまとめると〔上記ピンクの表の【中欄】を参照〕、5年間の注目株は高値止まりで、その他7年間は初日に下げ傾向だった。中でも、前回うし年だった2009年営業初日については4.58%の急上昇だった。

2021年に入ってから、ハンセン指数は通算2,942ポイント(10.8%)上昇しており、これまでの間に大陸からの資金が「港股通=香港ストックコネクト」〔香港・上海・深圳証券取引所が連携したプログラム‎〕を通じて連続34日の純インフローを記録している。「A株」〔大陸証券取引所の人民元建て銘柄〕と「港股通」の成績は18日木曜日に営業再開となるが、アナリストはグローバルな投資家のリスク許容度が大きくなっていると見ており、大陸からの資金流入が2日停まっていても香港株へはあまり影響しないと判断している。

「港股通木曜日に回復すれば市場を大きく下支えすることに

クレディ・スイス アジアパシフィックエリア シニア投資戦略ストラテジストを務める邵志銘の言葉によれば、「香港株式市況は火曜日の時点でも注目株は上昇機運にあり、グローバル投資家の今後一ヶ月半くらいの市場進展の見方は前向きであり、資金は第1四半期に引き続きアジアパシフィックエリアの市場に流れる」と見ている。というのもエリア内では市況回復の度合いが欧米先進国よりも進んでいるからだ。このほか、米国大統領バイデンが中国国家主席習近平と電話会談を行ったので、米中緊張関係に若干の緩和が起こるとの見込みを裏付けるものとなり、外資が今後も流れ込んで来るのに有利に働く。邵志銘はこれに続けて次のように語った。「香港株式は旧暦新年で休みが続いて、大陸からの資金流入がなかったものの、ハンセン指数の動きは依然良好で、(『港股通』が停まっていても)特に大きな影響はありません」。もっと重要なのは、現状、大陸の資金は機関投資家の資金がメインであり、香港銘柄を買い入れて中期〔50日前後〕の投資物件として配置しているので、「個人投資家の資金のように短期間〔10~20日未満〕で出たり入ったりするのとは違うので、大陸の資金が流れ込む傾向が短期内で変わることはなく、香港の株式市況を良い方向へ下支える要因のひとつになっている」と、同氏は言う。

新型コロナの状況が落ち着けば、物件賃貸業関連株や小売業関連株に買いが戻る期待も


國信證券股份有限公司(Guosen Securities、中国大陸の証券会社106社の中で営業収入のランキングが第四位の企業。香港の全額出資子会社は香港で上場済み)のマクロ経済マーケット主席アナリストである程嘉偉の予想でも、「香港株式がうし年最初の営業日に注目株が始値も終値も高いままである可能性は高く、香港を取り巻く海外の市況も見通しが良いので、ハンセン指数が火曜日に31000ポイントに達する見込みがある」としている。
※金曜日02/19 16:09時点での実際のデータは、終値30,644.73ポイント、高値30,720.15となっている。


同氏が解説するところでは、「アメリカ株式市場は経済が今後改善するという見込みをかけており、株価も最高値を記録すると思われ、有利に働くファクターは織り込み済みとなっていて、売り値は既に高めとなっている。相対的に、アジア経済は景気復興の基礎があり、エリア内の株式市場は吸引力がある。そんな状況で香港の新株市場も引き続き活気づいており、大型の大陸資本の銘柄も香港上場の動きは止まることなく、資金を香港へ流入させる原動力になっている。」

程嘉偉の指摘によると、GEM市場〔Growth Enterprise Market、中国語ではメインボードに対して【創業板=ベンチャーボード】と呼ぶ〕の銘柄に関して、中国資本のハイテク・インターネット関連のトップ銘柄が香港株式を上昇へ導く株銘柄グループであるとしている。また、香港ではここ最近新型コロナの感染拡大が明らかに弱まっているところから、ローカルの物件賃貸業関連の銘柄・小売業関連の銘柄が、これから2週間くらいで運転資金を取り戻す望みが掛けられている。同氏はさらに補足して、「ハンセン指数服務公司〔恒生銀行グループの企業で、ハンセン指数を発表する会社〕は、来週金曜日26日に四半期レビューの結果を公開する予定になっているので、新たにブルーチップ入りする希望を持っている大型銘柄で収益目的の売買取引が続くかもしれない点に注目したい」と言っている。
大陸の上海・深圳の証券取引所のA株〔基本的に人民元建ての取引の銘柄〕は、16日時点ではまだ休みで、旧暦新年七日目(2月18日)から営業再開される。

ニュースソース:Yahoo!ニュースに転載された信報Hong Kong Economic Journalの記事から2021年2月16日週二 上午4:00·4 分鐘文章https://hk.finance.yahoo.com/news/%E6%B8%AF%E8%82%A1%E7%89%9B%E5%B9%B4%E7%B4%85%E7%9B%A4%E6%8C%91%E6%88%B031000-200000929.html