【香港ローカル ニュース Vol. 88】

今回は、香港の民主化を要求した政党の解散と、労働組合関連の2つのニュースをお伝えします。

▼民主化要求の政党「民陣」、解散を発表

〜【Now新聞台】2021年8月15日 12:25 ‎から〜

‎民陣(正式名称:民間人權陣線 Civil Human Rights Front)は13日金曜日に年次総会を召集し、参加メンバーの一致により即日解散することを議決した。160万ドルにのぼる資産は委託団体を通じて相応しい団体に寄贈されるよう指示がされた。

民陣の述べるところによると、「2002年から一貫して合法的、平和的、理性的かつ非暴力の原則によって大型デモ集会の開催をしてきたが、ここ数年来、香港政府がコロナ対策を理由にデモの申請を拒んでおり、参加メンバーの団体も圧力をかけられており、召集人である陳皓桓 CHAN Ho-wun, Figo自身も数件の立件により身柄拘束中にあり、事務局もこれ以上運営不可能となっており、次期事務局もメンバーの参加がないため解散の宣言をせざるを得なくなった」としている。

ニュースソース(NOWTV NEWS Channel):

https://news.now.com/home/local/player?newsId=446213

△同上のニュースのアップデート△

▼『民陣解散』(香港民主化の政党)元発起人の楊政賢は更なる運営不可能と指摘。現職議員の葉國謙(建制派=中央政府寄り):反中国香港騒乱のデモは過去の遺物となった

〜『NOW新聞台(ニュース局)』2021年8月16日 12:22 電子版から〜

【NOWニュースチャンネル】民陣(民間人權陣線Civil Human Rights Front)は解散を宣言し、元召集人の楊政賢は民陣は過去においてアジェンダ(政府の検討課題)の策定に参与して政府が民間の要求を理解する助け役となっていたが、強まる圧力の下では従来のモデルで運営することができないと言っており、行政議会の現職議員である葉國謙は、今回の民陣解散は反中国・香港騒乱のデモが過去の歴史となる印だと評している。

成立して20年近くになる民陣の解散について、2013年から14年間召集人を務めた楊政賢はこの決定が苦渋に満ちたものであり、政府の厳しい締め付けの下では民陣がこれまで通りのモデルで存続運営することは不可能だと述べている。

楊政賢:「成立したての頃は、数十あった団体と共に行動していました。それは「香港基本法」の第二十三条が非常に問題があり、言論の自由に抵触していたからで、このことについてみなで一緒に声を上げました。今は政府によってデモや集会の自由が抑え込まれてしまい、これまでに常態的に用いた方法では立ち行かなくなったのです。」

「過去にはデモを組織することで民意を反映するよう政府の検討課題を誘導する役目を負っていた」と楊政賢は述べる一方で、「今後は柔軟な方法を採る必要がある」と言っている。また以前とは様変わりしてしまった政府と民間の関係に鑑みて、「民意と社会矛盾を市民生活の中に根付かせた関連性を目指すなら、公民社会が全く機能しなくなることにはならないだろう」としている。

葉國謙:「『国家安全法』の下では、過去数十年来の活動も終点を迎えた。こうした反中国香港騒乱の組織が活動する余地は既になくなった。今回の民陣解散は反中国の大規模デモが過去の歴史となることを印付けている」。

葉は「今後大型デモ活動そのものが無くなるとは考えておらず、市民が訴えを示すことは基本法の保護を受けている」と指摘している。

ニュースソース(NOWTV NEWS Channel):

https://news.now.com/home/local/player?newsId=446302

△労働組合関連のニュース△

▼労働組合連盟が登記住所を37の新規設立の労働組合に名義貸しし、反政府デモで市民と警察が対立していた時期に選挙票数の選挙区越えを操っていた疑い

【以下の内容は、東方日報Oriental Daily の報道記事の記者の見解を日本語で紹介するだけのものであり、当ブログは記事内容の主張に賛同や批判などの評価をするものではありません】

〜東方日報網址  8月17日 ‎から〜

『逃亡犯条例』改訂反対の嵐の中で、業界ごとの比例制を求めて新たに設けられた労働組合の登記申請が激増し、4,289件に上っている。2020年末まででは、既に1,410件の労働組合が登記済みとなり、2019年の917件に比べ年次あたり54%増となっている。申請の急増は、ひとえに反対派が立法議会と選挙委員会の「選挙区間での津波式の票数移動」に対抗するためだと見る向きもある。事件の背後で推進役になっていたのは、反中国香港騒乱の活動を展開してきたとされる香港職工会聯盟(=労働組合連盟。以下、職工盟)で、今年7月まで職工盟の所在地を登録住所として黒暴期(警察とデモ隊が物理的に衝突していた時期)に37件もの労働組合の登録があった。そのほか職工盟の住所名義借りをしていないがその後押しを受けていた労働組合もどきの法人設立があり、こうしたことは労働組合の法定の趣旨を全く外れた行為で、社会を分裂させるものであることから、ある議員は本来の業種の労働組合の活動に戻るよう引き締めが必要だと考えている。

消息筋の指摘によると、反対派陣営の「票移動」は二つの段階があり、第一段階は2019年区議会選挙に対するもので、様々なプロパガンダ活動で青少年層に「キー選挙区」で選挙民の登録をするよう誘導し、大方の区議会のコントロールに成功した。第二段階は、元々は去年に開催するべきであった立法議会と今年の選挙委員会の選挙に対するもので、サポーターを手繰り寄せて大量の労働組合を立ち上げ、立法議会と選挙委員会の職業別議席を埋め尽くそうとするもので、立法方面での権利を奪う政治目的を果たす意味があったと思われる。

<社会を分裂させて、憎悪を散布する>

数多くの労働組合が短期間内に立ち上げられているということは、職工盟が背後で重要な役割を負っていたと思われる。登録住所の「油麻地彌敦道557‎至559號永旺行19樓」を新たな労働組合に名義貸ししていただけでなく、その諮問機関としての役割も果たしていたと思われる。職工盟は労働組合もどきの団体を後押ししたり組織化して、社会分裂を引き起こし、憎悪を散布し政府施設を損なう反政府活動に駆り立てたと思われる。こうした労働組合もどきが立ち上がってから労働組合の活動は本来の趣旨から大きく外れ、労働者の権益を守るのではなく、『黒暴期』とコロナの検疫期間に政府の方針に対抗する政治運動、いわゆる当時の「三大ストライキ」や、コロナ感染拡大防止活動のストライキを含む各種反対活動を発動していたと思われる。

伝統的な労働組合と比べると、これら労働組合もどきは立上げ時期、人数、規模の資料などが透明度を欠いており、趣旨また過去に行った活動が業界と関連がない。例として、伝統的な労働組合「香港文職及専業人員総会」Hong Kong Clerical and Professional Employees General Unionは1991年9月と一早く立ち上げられており、会員数も5万4千人に上る。一方、労働組合もどき「香港白領(行政及文職)同行工會」Hong Kong White Collar (Administration & Clerical) Connect Unionは2019年の登録で、メンバー数不詳であり、反中国香港騒乱を焚きつける活動を何度なく起こしており、業界への貢献は一切ない。

香港文職及専業人員総会   http://cpegu.hk/zh-hant/

香港白領(行政及文職)同行工會     https://t.me/hkwccu

<医療従事者のストライキが政府にロックダウンを迫る>

37のエセ労働組合が登録住所を名義借りするだけでなく、黒暴期間に成立したエセ労働組合の一部は業界の代表と自称して度々マスコミに登場し反政府運動の牽引役となり、業界を乗っ取り、その発言権を奪おうとしたことにより、一般大衆がそうした言論が業界の声なのだと印象操作した。その「典型的な例」の一つが、2019年11月に立ち上げられた「医管局員工陣線」Hospital Authority Employee Allianceで、職工盟の支持を受け、去年2月にコロナ感染拡大の状況を顧みず、患者を人質に取り、連続五日間に渡って医療・看護活動のストライキを繰り広げ、政府に全面的なロックダウンを迫った。同組合の元議長であった余慧明はストライキによって「政権を揺るがす」ことが出来るとまで発言していた。

醫管局員工陣線    https://t.me/s/ha_employalliance

日本語版ウィキペディアの項目https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%BB%E7%AE%A1%E5%B1%80%E5%93%A1%E5%B7%A5%E9%99%A3%E7%B7%9A

もう一つ業界の乗っ取り、ここ最近注目を集めたエセ労働組合の例は、「香港言語治療師總工會」で、労働組合の名称の下でヘイトスピーチを織り込んだ子供むけの絵本の出版し、これは組合の業務と全く関連のないものである。

香港言語治療師總工會  https://www.guhkst.org/

現職の法廷弁護士で議員である容海恩は次のような批判を述べている:「エセ労働組合の一部の過去の活動は、街中での宣伝活動や、ストライキや登校拒否への参加、更には香港独立等であり、本来の趣旨や定款から外れたもので、関連する政府部門が調査を進めて規定違反があれば引締め措置を取るべきものだ。上記容弁護士の所見によれば、過去においては関連する分野での司法執行は緩やかなものであったが、『基本法』23条の立法の取り扱いや『香港特別行政区国家安全維護法』(国安法)の施行続行のほか、政府には、『職工会条例』(小公卿別労働組合条例)や『社団法人条例』に鑑みて労働組合に対する規制管理を強め、労働組合が関連法令遵守するよう努めてほしい」と述べている。

ニュースソース(東方日報):

https://orientaldaily.on.cc/content/%E8%A6%81%E8%81%9E%E6%B8%AF%E8%81%9E/odn-20210817-0817_00174_001/%E7%BD%AA%E9%AD%81%E8%81%B7%E5%B7%A5%E7%9B%9F–%E9%A1%9B%E8%A6%86%E7%89%B9%E5%8D%80%E5%A4%A7%E8%81%AF%E7%9B%9F