【香港ローカル ニュース Vol. 91】

香港では8月21日土曜日が旧暦七月十四日で盂蘭盆会でした。

街角では、彼岸の故人に渡したい物を紙製の模型に仕立てて燃やすことで供養にする人がたくさん見かけられました。日本のように位牌や仏壇がないので、お坊さんを自宅へ呼んでお経を読んでもらう習慣もありません。

(上記画像は舗装道路の歩行者部分を撮影したものです)

さて、香港ではワクチン接種が飲食業関連ではほぼ必須となり、業界の半分以上は接種済みで、教育従事者については接種人口が不明であるものの、教育局は対面授業をする教育従事者はワクチン接種を義務付ける方針が発表されました。

今回は、ワクチン接種を推進する香港政府の取り組みについてお伝えします。

新型コロナへの取り組みについては、大陸中央政府と香港行政特区政府は協同してはいますが、施策自体はそれぞれ独立した法令運用となっています。しかし、日本のように国の法律と地方自治体の条例というような二本立てではないため、防疫措置については香港のほうが罰則や巡回取締りが厳格なので、政府の対応は臨機応変と言えそうです。

▼政府の取り締まり緩和 店内飲食は店側従業員に証明書があればOK 娯楽施設利用は当面ワクチン未接種でも可

〜東方日報 日刊紙オリエンタルデイリー 2021年8月30日5:45から〜

現在の香港では新型コロナウイルスのワクチン接種完了したのは人口のおよそ49.5%で、変異種ウイルスの蔓延に伴って香港が集団免疫を獲得するのは机上の空論に終わってしまうのではと見方をする専門家も少なくないが、香港政府は闇雲にワクチン推進を行っている。公務員事務局局長 聶德權が8月29日日曜日に示唆したところによると、次の目標は「市民全員接種」であり、フランスのやり方にならって「健康パスポート」を進める可能性もあるとしており、一部の施設は接種完了済みの市民のみが立ち入り可能とするかもしれない。現行の防疫制限を再確認してみると、飲食や劇場・美容院など大部分がまだ「ワクチン未接種者立入禁止」の対象になっていない業種も、今後の政府の「とにかくワクチン接種実行」の強制的な施策のメスが入る目標になる確率が高い。業界も学者も当局の構想は、過去一年間新型コロナでさんざんな目に遭っている上に追い討ちを掛けるようなもので、市民を敵に回し、多くの業界を崖っぷちに追い込んでいると批判の声を上げている。‎

サラリーマン・学生・高齢者 ワクチン推進の三大目標

聶德權は日曜日のテレビ番組出演の際、「デルタ型変異ウイルスはワクチンの保護作用を脆弱化させるとはいえ、ワクチンは依然として感染後の病状が重篤化したり死亡につながることを低減させる助けになり、大規模な感染爆発を防ぐので、当局は『市民全員接種』を目標に掲げ、今後三大ワクチン接種対象、すなわち20歳~59歳の在職者、12歳~19歳の学生、70歳以上の高齢者に向けてワクチン接種の推進を行う」と述べた。現時点でそれぞれのグループの接種率は、それぞれ70%、56%、30%未満となっている。このうち当局は高齢者の接種率を高めることに重点を置き、ショッピングモールや公団住宅や地区内で、健康セミナーを開催したり、場合によっては医療従事者を待機させてその場で接種を行う予定。

健康パスポートの発行 ショッピングモール出入りもワクチン接種の義務化

聶德權は「筋道を通して政府はずっと有言実行している」と強調し、「市民に選択肢は与えているが義務を課しているのではなく、今後も市民にワクチン接種を受けようと思える要因は増やしていくとともに、フランスに倣って『健康パスポート』を設けて、施設によっては制限を設けて接種済みの人だけが出入りできるようにする可能性も考えている」と言う。しかし、「政府は機械的に接種率だけを見て感染予防対策やボーダーの出入りの緩和を考えるのではなく、リスクの評価を行い、業界の営業調整をおこない大陸側の業界との間で調整の話し合いをする」と述べている。過去の資料を見ると、フランスの「健康パスポート」には、市民がワクチン接種を終えていること、48時間内に無感染‎の証明書を持っていること、あるいは過去半年間に感染したが回復したことが求められており、これがあればレストラン・商業施設・劇場などに入ることができる。

現状の感染予防対策の法令で列挙されている場所のうち、タイプA・B・Cの飲食店・フィットネスクラブ・劇場・ビューティサロンなどは、顧客はワクチン未接種でも利用可能。フィットネス格闘技業界大連盟の発起人である柯尊鼎は批判の声を上げており、香港政府が顧客へのワクチン接種義務化に踏み切らないならフィットネス業界を撤退に追い込むだけだと述べる。市民には身体の不都合でワクチン接種に向いていなくても健康のための運動は必要であり、政府が健康づくりの運動をする機会をなぜ奪うようなことをするのか懸念を表している。また、フィットネス業界はコロナと移民ブームにも打撃を受けており、多くの会員が流出し、既にフィットネスセンターの多くが閉業している。さらに追い討ちをかけるような打撃には耐えられない状況で、政府のやり方は「市民を敵に回す」ものだと非難している。

これまでBタイプの飲食店として経営してきた倫敦大酒樓(ロンドン飲茶レストラン、九龍サイド弥頓道旺角ネイサンロード、モンコック)の総支配人蘇萬誠‎の所見では、「この政府の政策が実行に移されるなら、飲食業ビジネスに影響が出るのは必至であり、特に高齢者や家族連れの客の多い伝統的な中華料理ビジネスは特に大打撃だ」という。「中華レストランは感染対策に今までも協力するよう努めてきており、レストランの90%の従業員はワクチン接種を済ませており、政府がレストラン側に利用する市民のワクチン接種証明書や身分カードをチェックする権限を与えるのなら、レストラン側はそのまま対応するしかないが、飲食業界にしても利用客にしても途方に暮れるだろうと思う」と述べている。

学者はワクチン接種推進には保障がなく市民の怒りを募らせるだけだと非難

香港理工大学(ポリテクニック大学)専業・持続教育学院College of Professional and Continuing Educationの講師である陳偉強が指摘するには、多くの国の接種率と感染確認の診断数は並行する比率となっており、ワクチンでコロナを抑えるのが難しいことを反映して、政府が科学的証拠に対して目を向けず何が何でもワクチン推進をしているのは、感染防止に非力な原因を市民に責任転嫁させるための、まさかの政治的な理由からではないのかとの懸念すら思わせる。同時に、政府が飲食店利用客にワクチン接種を求める予定であることは、業界のビジネスを損なうだけでなく、市民が外食する権利を剥奪するものであって、益を損が上回ることがない状態で、いたずらに市民の不満を募らせるだけだとも述べている。

専業・持続教育学院公式サイト  ‎

https://www.cpce-polyu.edu.hk/tc/

雀荘:現時点ではマージャン・中華ドミノ遊戯所利用客にワクチン接種済みは求められていないが、現状がいつまで続くかは言い難い。
劇場:市民が入場して映画鑑賞に接種なしもOKだが今後は予測しがたい。
香港政府がワクチン接種推進して半年。しかし接種済みは市民の六割止まり。

飲食業および指定施設の利用客へのワクチン接種の要求

<利用客側は接種が必要でないもの>

  • タイプA・B・Cの飲食店
  • ゲームセンター
  • フィットネスセンター
  • 遊戯施設(ビリヤード・公共スケートリンクなど)
  • 公共娯楽施設(博物館・映画館など)
  • ビューティーサロンやマッサージ店
  • マージャン・中華ドミノの遊戯店
  • 運動施設
  • プール


<利用客に少なくとも一回のワクチン接種を求めるもの>

  • タイプDの飲食店
  • バーやワインハウスなど
  • クラブやナイトクラブなど
  • 入浴施設
  • カラオケ
  • パーティールーム
  • クルーズ船(二回の接種完了が必要)

*各種活動施設やクラブハウス、ホテルや簡易宿泊施設などは施設内に設けられている飲食店や指定施設の指示の適用に準ずる。

資料ソース:食物・衛生局

ニュースソース:

https://hk.news.yahoo.com/%E6%94%BF%E5%BA%9C%E6%94%BE%E9%A2%A8-%E5%A0%82%E9%A3%9F%E6%86%91%E8%AD%89%E9%80%9A%E8%A1%8C-%E5%A8%9B%E5%A0%B4%E7%84%A1%E9%87%9D%E5%85%8D%E5%95%8F-214500770.html?guccounter=1