トランプ関税、航空業界にも影響

 連日ニュースで見ない日はないというほど注目される「トランプ関税」の行方ですが、トランプ大統領は直近の報道で、現在145%となっている中国への関税について、80%が妥当だという認識を示しました。

 そんな中、航空業界が最も打撃を受けているようです。4月24日付香港各紙によると、香港郵政とDHLが相次いで米国向けの指定航空郵便物の受け入れを停止すると発表したのに続き、地元航空会社も23日、最近の貿易関税政策の変更により貨物輸送事業に多くの不確実性がもたらされ、乗客の旅行ニーズも変化し、運航コストが増加し、サプライチェーンに圧力がかかっていると発表しました。

 この点に関して、多くの航空学や経済学の専門家は、香港から米国への航空貨物のうち携帯電話やその他の品目が比較的大きな割合を占めていると語り、関税戦争が続けば輸送コストに悪影響が及び、航空会社は追加コストを吸収することが困難になるかもしれないと示唆しています。

 さらに、中国本土の航空会社は続々とボーイング機の受け入れを拒否しており、新たな目的地への運航が実現できないことも予想されています。

 一方で、航空業界以外にも着目すると政府は強気な姿勢を見せているようです。

■香港の対米輸出依存度は比較的低い

 4月27日付各紙によると、香港貿易発展局(HKTDC)の范婉児・研究総監は、2018年以降、米国は中国の対米輸出の約3分の2の商品に関税を課しているものの、中国の世界輸出シェアは依然として増加しており、2018年の12.7%から2023年には14.1%になると述べました。

 范総監は、緊迫した貿易情勢が香港企業のビジネスに及ぼす影響は小さいとみているようです。

 香港の対米輸出は2017年から2024年の間に10%減少、中東やASEAN諸国からの需要増加により、香港の輸出全体は17%増加しました。

 また范総監は、関税がどのように実施されるかに関わらず、世界の貿易国は単一市場への市場集中のリスクを再考する必要がある」と指摘し、香港の「一国二制度」モデルと、中国本土と世界の他の地域を結ぶ独自の役割により、香港は中国本土と世界の間の新たな貿易と投資の流れにとって最良のルートになると強調しました。