恒例のフードエキスポ美食博覧 第35回 明日8月14日から18日まで開催

「食は広州に在り」という格言があるのは読者の皆さんもご存じでしょう。実は前後に「生在蘇州(生まれは蘇州~気候がよく美人が多い)、住在杭州(住むなら杭州~景観がすばらしい)、食在廣州(食は広州~バラエティに富んだ美食文化)、死在柳州(最期は柳州~棺桶の名産地)というように人生のステージを示す四つの言葉を連ねたものだったんです。

香港は北方や上海・蘇州などから移り住んで来た人や、広州市にある有名な茶館や酒楼の分店が開かれるなど、中国大陸の中でも様々な地方の食文化が集まった、いわば中国の中のチャイナタウンのような部分があります。

有名なところで蓮香楼は元々広州市にあった中華レストラン。兄弟経営の下、香港に分店を出すことになり、同じ名前でセントラルAberdeen Streetで今でも手押し車で点心が回ってくるレストランが続いています。派生した蓮香居という飲茶レストランは上環Sheung Wan~西営盤 Sai Ying Punにありますが、去年オーナーが変わり、六安居という名前で営業しています。また、歴史的な経緯から華人・中華系ではない外国人の定住者のコミュニティもありますから、香港ではいながらにして、本格的なインド・タイ・メキシコ<Tsim Sha Tsui ・El Cid>・フランス<ランドマーク・Joel Robuchon>レストランがあり、さらにはウクライナ料理など特色ある専門店<セントラル・Ivan the Kozak>などもあります。

(Tsim Sha Tsui, Knutsford Terrace – EL CID)

ちなみに、昔は、北京ダックの高級品は北京で供されるのでなく『輸出して』香港で消費されるものが多かったなどといったことも言われていたそうです。

(セントラル Aberdeen Street/Wellington Streetの蓮香楼 LIN HEUNG LAU)

そんな香港ですから、香港ローカルの人々は食に対するパッションが熱いです。寿司や和牛は既に香港人にとってピッツァやフライドチキンと同じくらい日常に溶け込んでいます。小さな面積にギュッとバラエティ豊かな食べ物文化が息づいているのは、金融都市以外の香港の楽しみな特色ですね。

観光で香港を訪れる方には、グルメを楽しむ博覧会は馴染みが薄いかもしれませんが、「アジアの国際都市」を謳う香港で、フードエクスポ美食博覧会第35期が明日から開催されます。一般入場者のエリアと業界関係者のエリアがあり、ビジネスチャンスを掴む場も設けられています。

(美食を五つのテーマで深堀りする趣向が凝らされている)

また、グルメと同時開催で「家電生活用品」・「ビューティーと健康」・「茶葉と茶文化」の展覧も行われます。業界関係者限定の「漢方薬・健康食品」の博覧も開かれます。美食部門で日本からはカレースパイスでおなじみのS&Bが出展します。

博覧会といえばイベント。こちらも豊富なアトラクションが予定されています。14日・16日以外にも特設ステージではアトラクションが繰り広げられます。

飲食、金融、イノベーション技術をローカライズすることなどに懸けては香港は中華圏での先駆者の立ち位置を守ってきました。深圳や上海にも大きな催事場が作られ、国際会議や博覧会が出来る施設がありますし、永く続いている年二回の広州交易会も健在です。そんな中で、雑多ではあるものの、海外からのアクセスがよく、消費も交易も盛んな香港で世界中の美食を試してみる機会は、今後も香港の特色ある催事として続いていってほしいものです。