「医療券」ヘルスケア・バウチャー・スキーム


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日本では国民健康保険で公立・私立を問わず様々な医療期間で治療を受けることができますが、こちら香港では基本的に公立の医療機関で香港の居住者(香港の身分証明カード保持者)は低額の医療費で治療を受けることができます。非居住者の場合は公立病院であっても治療費・薬代などは全額支払うことになります。メリットを受ける香港居住者であっても、所得税とは別に給与から源泉徴収されるような保険料があるわけではありません。

漢字では医療券と書かれる、ヘルスケア・バウチャー・スキームというものが2009年から試験的に導入されて、漢方を含む民間の医療機関・クリニック・療法士の施術処などで高齢者が「医療」費用を減免してもらえる制度が始まりました。町中では「医療券」という漢字の入ったグリーンのシールを貼った『医療サービス提供者』を見かけることができます。『医療』とはいっても、「ヘルスケア」健康維持・促進が目的なので、65歳以上という制限はあるものの、資格に合っていれば外国人香港居住者であっても、「足つぼマッサージ」や、医療器具である「眼鏡店」などでも有効なシステムです。

画像は、香港の街中の漢方の推拿<経絡ツボのマッサージ>専門店のパンフレットに見えるグリーンの「医療券」のマーク。

香港の公立病院はとにかく混んでいて一般内科でも専門医でも予約を取るのがなかなか難しい。その上、日本と違い民間の開業医にかかると費用は、公立病院の数倍になるのです。それで高齢者対象とは言え、私立のクリニックを活用するためにこの「医療券」システムは、試験的な導入から2014年には本格的な制度に変わり、減免金額も徐々に増加されました。

昨年、2024年の2月から適用地区は香港だけでなく、ボーダーを越えていわゆるGBA Great Bay Area大湾区にある大陸の7つの指定医療機関でも使えるよう、試験的拡大が行われ、今年2025年5月から8月にかけて更に12の医療機関が加えられました。

※今では香港の銀行でも「クロスボーダー資産管理」サービスのポスターなどでよく見かける『GBA大湾区』。

今週8月28日からは21番目となる、肇慶市第一人民醫院(「肇慶市一醫院」)での適用が始まるということです。
※ 実際には、同時に更に2つの病院にも適用されるとネットでは案内がありました。南方醫科大學深圳醫院は、1951年に黒龍江省で創立、その後広東省広州市に移転した軍医院が母体。北京大學深圳醫院は、1921年創立の中国初の国立医学専門学校で、2000年に北京大学医学部として吸収統合されました。深圳の分院は福田区にあり、香蜜湖の近くです。

20世紀に日本から中国大陸へ進出した日本のメーカーは、アパレルから最先端の精密光学製品まで様々な工場を設立しましたが、いわゆる来料加工―材料を持ち込んで中国で加工・組立するという時代のことを知っている方ならば、大陸で病気になったり怪我をしたりするのは、制度の不備から恐怖以外の何物でもないことをご存知かもしれません。ひどい怪我を負って病院に運び込まれても前金で治療費を払えなければ治療が受けられないと言われていました。

外国企業の中国進出ラッシュの時代が去り、今はボーダーのこちらと向こうで、相互に人が行き来して、週末の買い物から不動産投資まで、人とお金が移動する時代です。香港ローカルの住民で、老後の引退生活を物価のやや安い大陸の家で過ごすという人もいます。「医療券」システムとその拡大は、そんな香港人そして外国籍香港居住者の高齢者をケアする香港政府の福利厚生政策といえるでしょう。

日本人には関係ないと思われるかもしれませんが、香港政府の公式サイトにはなんと日本語でも「医療券」システムのページがありました。ご興味がある方は、下記にその内容を貼り付けておきますのでご覧ください。

短期滞在・観光・トランジットで香港においでになる方には、ちょっと見えてこない香港をご紹介してみました。

https://www.hcv.gov.hk/tc/resources/other_language/pub_japanese.html

高齢者医療利用券制度