2026-27年度 香港予算案― 中小企業と在住者が本当に見るべきポイント

2月25日、香港の財政長官である
陳茂波 氏が2026-27年度の財政予算案を発表しました。

テーマは
「創科駆動、金融賦能;多元発展、関愛惠民」。

イノベーションと金融を軸にしながら、
市民と企業をどう支えるか、という内容です。

では、実務目線で何がポイントなのでしょうか。

① 税還付は“倍”に

所得税・利益税の還付上限は
1500ドル → 3000ドルへ引き上げ。

中小企業にとっては、
キャッシュフローの小さな追い風になります。

ただし一時的措置。
恒久減税ではありません。

② 不動産・高額住宅へのメッセージ

  • 不動産税軽減(上限500ドル)
  • 1億ドル超の住宅印紙税を6.5%へ引き上げ(即日遡及)

高級不動産への税強化は、
“資産市場は調整する”というサインとも読めます。

③ EV優遇の終了

電気自動車の初回登録税軽減は
3月末で終了。

環境政策も「永続的優遇」ではなく、
段階的見直しへ。

④ 100億ドルの創科基金

予算案では
100億ドル規模の「創科産業導向基金」を設立。

AI、ライフヘルス、ロボットなどへ投資。

ここは国家の「第15次5カ年計画」との連動が明確です。

香港は単なる金融都市ではなく、
“産業投資のハブ”を目指しています。

⑤ 北部都会区は本気

  • 河套地区 100億ドル
  • 新田科技城 100億ドル

北部都会区は
将来の経済エンジンと明言。

これは数年単位で効いてくる話です。

⑥ 経済見通しは2.5〜3.5%

政府予測は堅実。

  • 輸出堅調
  • サービス輸出増加
  • 観光回復
  • 労働市場安定

ただし国際情勢の不確実性も指摘しています。

実務者としての視点

今回の予算案は
「ばらまき」ではありません。

✔ 小規模支援
✔ 産業集中投資
✔ 国家計画との整合
✔ 財政均衡意識

香港は
“選択と集中”に入っています。

在住者として感じること

旧正月期間には177万人が来港し、ホテル稼働率は9割。

人は戻っています。

一方で、政府は冷静です。

短期の景気より、
中長期の構造転換。

香港は今、
「次の10年」を設計している段階なのかもしれません。

まとめ

税還付はうれしい。
成長予測も前向き。

しかし本質は、

✔ どこに投資する都市になるのか
✔ どの産業を伸ばすのか
✔ どの資本を呼び込むのか

そこにあります。

実務に携わる立場としては、
この流れをどう読むかが重要です。

香港は今、
“再成長の設計図”を描き始めています。

来週も、現地から静かに見ていきます。