香港、“人は増えているのに採用は難しくなっている理由”

旧正月が明け、街に人の流れが戻ってきた香港。
観光客は増え、街の賑わいも明らかに回復しています。
一見すると、「人が戻ってきた=ビジネスも順調」と感じるかもしれません。
しかし、実際に現地で事業を行っていると、少し違った実感があります。
それは、
「人は増えているのに、採用はむしろ難しくなっている」
という感覚です。
まず前提として、香港には今も多くの企業が流入しています。
外資企業数は過去最高を更新し、スタートアップも増加。
政府も企業誘致を強化しており、マーケットとしての魅力は依然として高い状態です。
つまり、
企業は増えている=人材の奪い合いが激化している
という構図です。
さらに特徴的なのが、「人の数」と「実務人材」は別物だという点です。
観光客は確実に戻ってきていますし、
短期滞在者やイベント参加者も増えています。
しかし、企業が本当に求めているのは
・ローカル実務がわかる人材
・バイリンガルで動ける人材
・クロスボーダーに対応できる人材
こうした“即戦力”です。
この層は、実はそこまで増えていません。
加えて、香港特有の「転職の速さ」も影響しています。
条件が良ければすぐに移る。
これは香港では当たり前の文化です。
そのため、
採用できたとしても定着するとは限らない。
結果として、企業側の体感としては
「ずっと人が足りない状態」
が続きます。
もう一つ見逃せないのが、
**業界ごとの“人材の偏り”**です。
例えば、
・金融やFinTech
・AIやテクノロジー領域
こうした分野には人材も資金も集まりやすい一方で、
バックオフィスや管理部門、実務系ポジションは慢性的に不足しがちです。
実際、日系企業の進出でも、
「営業は採れるが、経理・総務が見つからない」
という声は少なくありません。
こうした状況を見ると、香港は今、
単純な“人手不足”ではなく、
「必要な人材だけが足りない市場」
になっていると言えます。
では、どう対応するべきか。
一つは、採用だけに頼らない体制づくりです。
・業務の外部委託(アウトソーシング)
・グループ内での機能分散
・デジタル化による省人化
こうした設計が、これまで以上に重要になっています。
香港は、チャンスの多い市場である一方で、
“人”に関しては非常にシビアな環境でもあります。
人が増えているように見える今こそ、
「誰をどう確保するか」ではなく、
「どう人に依存しないか」
そんな視点が、ビジネスの安定性を左右しているのかもしれません。

